脂漏性湿疹

頭皮や顔の脂漏性湿疹が治った − 漢方で根本原因を排除

こちらのページでは、脂漏性湿疹の漢方治療について解説します。治りにくい脂漏性湿疹に対し、当薬局では、脂漏性湿疹の根本原因となる病邪を除去することにより、脂漏性湿疹の根本治療を進めます。

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

*目次*
脂漏性湿疹とは
症状
原因
治療
治療(脂漏性湿疹の漢方治療)
体質別の漢方治療方針
よく使われる漢方薬
予防/日常生活での注意点

症例紹介ページもあります)

脂漏性湿疹とは

脂漏性湿疹は、皮脂の分泌が多い部位に炎症が生じて発生する湿疹です。頭皮、生え際、鼻のまわりなどの顔面、耳のうしろ、わきの下、股間部、膝の裏など、皮脂腺が多い部分に好発します。皮脂腺の豊富な部分を脂漏部位といいます。「脂漏性皮膚炎」とも呼ばれます。赤ちゃんから老人まで幅広くみられます。

症状

症状としては、赤い発疹が生じ、患部の皮膚が赤くなります(紅斑)。黄色っぽい湿り気を帯びたフケや皮膚片(鱗屑)が、ぼろぼろとはがれ落ちます(落屑)。乾燥した鱗状の場合もあります。ひどい場合は、患部が盛り上がり、フケや皮膚片が浸出液と固まって、かさぶた(痂皮)のようになります。痒みは感じる場合もありますが、感じない場合もあるようです。思春期以降にみられる成人型の脂漏性湿疹は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、経過の長い(なかなか治らない)湿疹です。

原因

原因は、皮脂の分泌が過剰になったり、皮脂分泌バランスが崩れたりすることにより、皮膚の環境が変化して起こります。皮脂腺からの皮脂の分泌は、自律神経系やホルモン内分泌系と密接な関係があり、ストレスや、寝不足など生活のリズムの乱れ、食事の偏りなどで生じます。入浴や洗髪、洗顔が不十分な場合も、皮膚に皮脂が貯留し、脂漏性湿疹になります。皮脂の多いところを好む真菌(皮膚に常在しているマラセチア菌)や紫外線によって脂漏が脂肪酸に分解されると、さらに皮膚炎が悪化します。

治療

治療法には、症状を薬で抑える対症療法や、根本原因を除去して根治を目指す方法などがあります。併用することも可能です。

西洋医学では、炎症を抑えるステロイド外用薬や、真菌の繁殖を抑える抗真菌薬が、対症療法的に用いられます。

治療(脂漏性湿疹の漢方治療)

漢方では、脂漏性湿疹を熱邪(ねつじゃ)と関係が深い疾患と捉えています。熱邪は病気の原因(病因)のひとつで、熱証を表します。患部の発赤、熱感などの炎症症状や、疼痛、化膿、発熱、充血、多汗、出血などの症状がみられます。

この熱邪が、勢いを増したり、他の病邪(風邪(ふうじゃ)、湿邪など)と結びついたりして、脂漏性湿疹を生じます。

したがって漢方では、これら熱邪をはじめとする病邪を漢方薬で体内から除去し、脂漏性湿疹の根本原因を排除することにより、脂漏性湿疹の治療をします。皮膚の病気だからといって皮膚だけをきれいにしようとしても、慢性的な湿疹の場合は、なかなかうまくいかないものです。体の中からきれいに改善されて始めて皮膚の病気も治っていきます。

症例紹介ページもあります)

体質別の漢方治療方針

漢方では、患者一人一人の体質に合わせ、熱邪を除去するなどして、脂漏性湿疹を治療します。以下に、脂漏性湿疹にみられることの多い証(しょう)と漢方薬を紹介します。証とは、患者の体質や病状のことです。患者一人一人の証(体質や病状)に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

  • ①風湿熱

湿疹が湿っぽく、痒みがあり、広がる傾向にあるようなら、「風湿熱(ふうしつねつ)」証です。風湿熱は、熱邪が風邪と湿邪と結合したものです。べっとりと湿っぽく、熱証を伴い、皮膚を侵すことが多い病邪です。この風湿熱邪が皮膚を侵すと、脂漏性湿疹が生じます。風湿熱を除去する漢方薬で、脂漏性湿疹を治します。

  • ②熱毒

紅斑が色濃く顕著なら、「熱毒(ねつどく)」証です。患部で充血して紅斑が生じます。漢方薬で熱毒を冷まし、脂漏性湿疹の治療をします。

  • ③血虚血熱

皮膚に紅斑、痒み、乾燥などがみられる場合は、「血虚血熱(けっきょけつねつ)」証です。血液の滋養作用が弱まって皮膚の乾燥や痒みが生じた上に、紅斑などの熱毒の症状も明らかなのが、この証です。血を補い、熱毒を冷ます漢方薬で脂漏性湿疹を治療します。

  • ④気分熱盛

皮膚の炎症が強く、かさぶた(痂皮)ができているようなら、「気分熱盛(きぶんねつせい)」証です。熱邪が勢いよく暴れているので炎症が強く、痂皮が生じやすくなります。強い熱を冷ます漢方薬で脂漏性湿疹を治療します。

  • ⑤湿熱

湿疹が長期化し、患部が湿潤し、熱感や発赤が顕著なら、「湿熱(しつねつ)」証です。湿熱は体内で過剰な湿邪と熱邪が結合したものです。脂っこいもの、刺激物、味の濃いもの、生もの、アルコール類の日常的摂取や大量摂取、清潔とはいえない生活環境などにより、この証になります。湿熱を除去する漢方薬で、脂漏性湿疹の治療をします。

ほかにも脂漏性湿疹にみられる証はたくさんあります。証が違えば薬も変わります。自分の証を正確に判断するためには、漢方の専門家のカウンセリングを受けることが、もっとも確実で安心です。

よく使われる漢方薬

  • ①消風散、十味敗毒湯、荊防敗毒散など

湿疹が湿っぽく、痒みがあり、広がる傾向にあるようなら、たとえば、消風散(しょうふうさん)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)など、風湿熱(ふうしつねつ)証を治療する漢方薬を用います。

  • ②黄連解毒湯など

紅斑が色濃く顕著なら、たとえば、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)など、熱毒(ねつどく)証を治療する漢方薬を使います。

  • ③荊芥連翹湯など

皮膚に紅斑、痒み、乾燥などがみられる場合は、たとえば、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)など、血虚血熱(けっきょけつねつ)証を治療する漢方薬を用います。

  • ④白虎湯など

皮膚の炎症が強く、かさぶた(痂皮)ができているようなら、たとえば、白虎湯(びゃっことう)など、気分熱盛(きぶんねつせい)証を治療する漢方薬を使います。

  • ⑤茵蔯五苓散、半夏瀉心湯など

湿疹が長期化し、患部が湿潤し、熱感や発赤が顕著なら、たとえば、茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)など、湿熱(しつねつ)証を治療する漢方薬を用います。

ほかにも脂漏性湿疹を治療する漢方薬は、たくさんあります。当薬局では、漢方の専門家が一人一人の証(体質や病状)を的確に判断し、その人に最適な処方をオーダーメイドで調合しています。

予防/日常生活での注意点

日常生活では、まず皮膚を清潔に保ちましょう。刺激の少ない石鹸やシャンプーがいいようです。食事にも気をつけてください。糖分や、脂っこいもの、アルコール類のとりすぎは控えましょう。ストレスや、過労、睡眠不足にも気をつけてください。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。帝国ホテルプラザ東京内「薬石花房 幸福薬局」代表。薬剤師・中医師。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社サイト「日経グッデイ」「日経DI(ドラッグインフォメーション)」にて漢方コラムを10年以上にわたり好評連載中。中国、台湾など海外での出版も多い。

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。

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