慢性の頭痛の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で慢性頭痛が治った症例
(こちらは症例紹介ページです。頭痛の解説ページは こちら へどうぞ)
頭痛のタイプは人それぞれで、効果を得るためには自分に合った漢方薬を用いることが肝心です。以下は、当薬局の漢方薬で慢性の頭痛が著しく改善した例です。
■症例1 締め付けられるような痛み
「一日中パソコンに向かって仕事をしているので慢性的な肩こりがありますが、ひどいときには頭が痛くなります。肩から首、頭皮までこっている感じです。病院で緊張型頭痛と言われました」
会社を休むほどの痛みではありません。ひどいときは市販の鎮痛剤を飲んでいます。頭をはちまきで締め付けられるような痛みです。
この人の証は「肝陽頭痛」です。一日中パソコンに向かい続ける、同じ姿勢を長時間維持するという身体的な負担で肝気の流れが乱れ、肝陽が上昇して頭痛を発生させています。肝陽とは、五臓の肝の機能です。
精神的なストレスや睡眠不足でも生じます。目を酷使することで、さらに起こりやすい頭痛です。
頭を締め付けられたように痛む、頭皮が硬くつっぱっているように感じる、ヘルメットかなにか重いものをかぶせられたような感じがする、という人もいます。
このタイプの頭痛体質は肝陽を鎮める漢方薬で改善をします。上昇した肝陽をおろし、頭部の熱証である頭痛を和らげる漢方薬を服用し、4か月ほどで頭痛はまったくなくなり、肩こりも解消されました。
■症例2 ズキンズキンと脈打つ痛み
「月に1、2回ほど、右側のこめかみあたりがズキズキ痛みます。痛みは4〜5時間続きますが、じっとしていると少しは痛みがましになります。病院で片頭痛と診断されました」
帰宅後や休日など、緊張が解けてリラックスしているときや、強い光を見たときによく起こります。痛みがくる前に、あくびがよく出るので、ああ、これから片頭痛がくるな、とわかります。痛みの最中は吐き気がし、しばしば鼻つまります。実際に吐くこともあります。かわいい子どものはしゃぎ声が、このときばかりは苦痛です。
この人の証は「痰濁頭痛」です。痰とは、体液が停滞して生じた異常な水液のことを意味します。これが内風とともに体内を上昇して頭痛となっています。
水分が過剰に存在するため血管が拡張し、ズキンズキンと脈打つような拍動性の頭痛が発生しています。
このタイプの頭痛体質は、痰を排除する漢方薬で改善します。痰を取り除くとともに熱も冷ましてくれる漢方を服用し、半年後には片頭痛がほとんど起こらなくなりました。
片頭痛についてはこちらもご覧ください → 片頭痛
→ 片頭痛が治った症例
■症例3 目の奥が強烈に痛む激しい頭痛
「年に2〜3回、強烈な頭痛に見舞われます。頭痛は毎日のように襲ってきて、そういう日々が2週間くらい続き、苦痛です。病院で群発頭痛と言われました」
痛みは激烈で、とくに目の奥が痛く、目の玉をえぐられるような、きりで刺されるような痛みです。痛いときは、目の奥が熱く感じられ、目が充血し、涙や鼻水が出ます。15分くらい続くのですが、その間は何も手につかないほどの痛みです。今度いつまたあの痛みに襲われるかと心配です。いらいらしやすく、不眠ぎみです。
この人の頭痛は、ストレスと血流の両方が関係しているようなので、「肝陽頭痛」と「瘀血(おけつ)頭痛」の二つが合わさったものと考えられます。
肝陽頭痛は、症例1のように、ストレスなどの影響で肝気の流れが乱れ、肝陽が上昇して頭痛が発生するタイプですが、ストレスや緊張、怒りにより、精神的な興奮状態が長く続いた場合は、「肝火上炎」証になります。肝気の流れが乱れ、火邪が生じて肝火となり、強い頭痛を引き起こします。
割れるような激しい頭痛、拍動性の痛み、めまい、目の充血、顔面紅潮、舌が赤い、などの症候がみられます。
瘀血頭痛は、血液の流れがわるい血瘀体質であるために頭痛が生じるタイプです。とがったもので刺されたような痛み方をするのが特徴です。夜になると発生しやすい頭痛です。
こういう場合は、上炎している肝火を鎮める漢方薬と、瘀血を取り除く漢方薬を同時に服用して頭痛を解消させていきます。
この人は、この二つの処方を、病院での治療と並行して、痛みが発生していない期間も飲み続け、その結果、年に2〜3回繰り返していた群発頭痛が年1回に減り、さらに翌年は頭痛に見舞われることなく過ごすことができました。
頭痛がしないときにも漢方薬を飲み続けるのはたいへんかもしれませんが、その間にストレスに強くなり、血流が改善され、群発頭痛体質が改善されたものと思われます。以前ほどいらいらすることもなくなったそうです。
頭痛によく使われる漢方処方:
柴胡加竜骨牡蛎湯、七物降下湯、抑肝散、竜胆瀉肝湯、釣藤散、杞菊地黄丸、六味地黄丸、四物湯、温胆湯、呉茱萸湯、五苓散、半夏白朮天麻湯、半夏厚朴湯、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、四君子湯、六君子湯、補中益気湯、川芎茶調散、麻黄湯、葛根湯
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。
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