片頭痛

  • 漢方で片頭痛が出ない体質に改善を

漢方薬は、西洋薬の鎮痛剤で痛みを抑えるのとは別に、片頭痛そのものを根本治療したい場合に有効で、鎮痛剤やトリプタン製剤の服用量を減らす効果も期待できます。

*片頭痛が治った症例紹介ページは こちら

片頭痛の特徴

部位 頭の片側、時には両側や後頭部が脈拍に合わせてズキズキと痛む、からだを動かすと悪化
頻度 痛みは月に数回、多い人だと週に1、2回ほどの頻度
期間 数時間で和らぐ場合もあれば、数日間、痛みが続く場合も
他の症状・前兆 吐き気、嘔吐、生あくび、肩こり、異常な空腹、前兆としてキラキラした火花のような光や、ギザギザした光の波が見える(閃輝暗点:せんきあんてん)
メカニズム 脳の血管の炎症、また女性ホルモンの分泌と関係があるとされるが、詳細は未解明
引き金 光、音、匂い、低気圧の接近(梅雨時や台風シーズンなど)、血糖値の低下、精神的ストレス、人混み、疲労、過労、睡眠不足など
患者の特徴 多くは女性で、とくに20〜40代に集中


片頭痛の治療法

西洋医学

 

西洋医学ではトリプタン製剤などが処方されます。

鎮痛剤を頻繁に飲むと薬への依存が高まり、頭痛の頻度が増えることがありますので注意が必要です(薬物乱用頭痛)。


漢方

人体の基本的な構成成分である気・血(けつ)・津液(しんえき)の流れや量を調整することにより、片頭痛を治療しています。

脳の血管の拡大・・・血や津液の流れと関係が深い

ストレスや疲労・・・気の流れと関連している

西洋薬は、痛みを抑えることを目的としますが、漢方は、片頭痛が出やすくなっている体質的な問題を見極め、そこに働きかけて、片頭痛が出ない体質に改善することを目指します。

片頭痛の背景にある体質は人によって違うので、用いる漢方薬も一律ではありません。次項でよくあるタイプを解説しますが、多くの場合自分で判断するのは難しいので、根本治療を希望される方はまず専門家に相談することをお勧めします。


◆片頭痛が出やすい人によくあるタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1)「肝陽化風(かんようかふう)」証

片頭痛がストレスや月経に誘発されやすいようならこの証です。

肝は五臓のひとつで、からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる機能を持つ、自律神経系と関係が深い臓腑です。

この肝の血(肝血)が足りないと肝の機能(肝陽)が不安定となり、ストレスなどの影響で容易に肝気の流れが乱れ、肝陽が上昇します(肝陽上亢)。この肝陽上亢が強くなると、あるいは長引くと、内風(肝風)が生じ、肝陽化風証になります。

肝陽が頭部まで達したことで、頭痛のほかに、のぼせ、怒りっぽい、耳鳴り、めまい、ふらつき、震え、引きつりなどの症状が表れます。この証の頭痛を「肝陽頭痛」ともいいます。

肝は月経とも関係が深いので、月経前や月経中、排卵期に片頭痛となる場合もあります。

→ この証の人に対しては、肝陽を鎮めて肝風を和らげる漢方薬で治療します。

(2)「脾胃陽虚(ひいようきょ)」証

疲れたときや冷えたときに片頭痛が生じやすいようなら、この証です。

脾は五臓のひとつで、消化吸収や代謝をつかさどり、気血(エネルギーや栄養)の源を生成します。

この脾胃の機能が弱いために飲食物を満足に消化吸収できず、体内の気血が不足し、さらに熱を生成する気の力が弱くなっている体質が脾胃陽虚証です。

疲れや冷えが生じると気血の流れがわるくなり、片頭痛が生じます。

慢性的な体調不良や疾患、過労、生活の不摂生、加齢などにより、この証になります。

疲れやすい、食欲不振、吐き気、嘔吐、上腹部の冷え、唾液やよだれが多く出る、などの症状もみられます。

→ 胃腸の機能を高め、冷えを改善する漢方薬で治療します。

(3)「水湿(すいしつ)」証

吐き気、下痢、むくみ、めまいなどが片頭痛に伴ってみられるようならこの証です。

水湿とは、水分の吸収や排泄、代謝が滞り、過剰な水分が体内に滞っている状態です。水湿が上昇して頭部の血流量に乱れが生じることが、片頭痛と関連していると思われます。

梅雨時や台風シーズンなど、天気や気圧の低下が引き金となって片頭痛が生じることもあります。

心窩部の振水音、嘔吐、尿量減少、動悸などの症状もみられます。水滞、水邪、水毒などとも呼ばれる証です。

→ 水湿を取り除く漢方薬で治療を進めます。

(4)「寒飲(かんいん)」証

同じように吐き気やむくみなどの水液の代謝障害による症状に加えて、冷えも関与しているようならこの証です。

寒飲とは寒証を伴う痰飲(たんいん)のことで、痰飲とは津液が水分代謝の失調などにより異常な水液と化したものを意味します。

体液代謝の失調や低下、炎症、循環障害、ホルモン異常、代謝産物の体内蓄積、暴飲暴食、食事の不摂生、運動不足などにより、痰飲は生じます。

寒飲の影響により、片頭痛が起こります。めまい、立ちくらみ、肩こり、動悸などを伴います。症状は、横になることにより軽減します。この証の頭痛を「痰濁頭痛」ともいいます。

→ 寒飲を除去する漢方薬で、片頭痛を治療します。

(5)「寒飲上逆(かんいんじょうぎゃく)」証

同じく寒飲による片頭痛でも、寒飲が激しく体内を上昇して頭痛と嘔吐を引き起こしている場合はこの証です。

寒飲が上逆することにより、吃逆(しゃっくり)、よだれやつばが多く出る、などの症状もみられます。お腹や手足の冷えも顕著です。

→ からだを温めて寒飲を降ろす漢方薬で治療します。

(6)「風寒(ふうかん)」証

寒冷の環境や気候に誘発されやすい片頭痛で、鼻づまり、鼻水、悪寒などの症状もみられるならこの証です。

風寒は、風邪と寒邪が合わさったものです。風邪は、自然界の風が引き起こす現象に似た症状があらわれる病邪であり、寒邪は、自然界の寒冷が引き起こす現象に似た症状があらわれる病邪です。

この風寒邪が頭部に侵入すると、片頭痛になります。

→ 風寒を発散させて除去する漢方薬で、片頭痛を治療します。


◆片頭痛に効果的な漢方薬


釣藤散、川芎茶調散、苓桂朮甘湯、呉茱萸湯、五苓散、桂枝人参湯

***

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。

どうぞお気軽にご連絡をください。

薬石花房 幸福薬局 ご予約はこちらから

出典:本ページは「日経DIオンライン」に幸井俊高が執筆した記事をもとにしています。

関連ページ・症例・エッセイなど

自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

カウンセリングスタッフ紹介