片頭痛の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で片頭痛が治った症例
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■症例1「月に1、2回、片頭痛に見舞われます。生理の直前になることが多く、排卵期に起こることもあります」
発作時には肩が強烈にこり、目が充血します。舌は紅く、べっとりとした舌苔が付着しています。
この患者さんの証は、「肝陽化風(かんようかふう)」です。肝は五臓のひとつで、からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる機能(疏泄:そせつ)を持ちます。
肝は月経と関係が深い臓腑なので、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少する月経前や排卵期に片頭痛が生じます。
月経前や排卵期の片頭痛、肩こり、目の充血、紅い舌、べっとりとした舌苔などは、この証の特徴です。
のぼせ、めまい、怒りっぽい、などの症状がみられることもあります。ストレスの影響でこの証になるケースもよく見られます。
この証の場合は、漢方薬で肝陽を鎮めて肝風を和らげることにより、片頭痛を治療します。この患者さんは漢方薬の服用を始めて4か月後(月経4周期目)に、片頭痛に見舞われることなく月経を迎えました。その後は片頭痛が来たり来なかったりと波がありましたが、8か月目以降はまったく頭が痛むことがなくなりました。
■症例2「月に2、3回、左側のこめかみあたりがズキズキ痛みます。痛みは4〜5時間続きます。横になってじっとしていると痛みが少しましになります。病院で片頭痛と診断されました」
冷えたときや、帰宅後や休日など、緊張が解けてリラックスしているときに痛むように思います。痛むときは同時に鼻がよくつまります。悪寒やめまいが生じることもあります。淡紅色の舌に、白い舌苔が薄く付着しています。
この患者さんは、「風寒(ふうかん)」証です。風寒は、風邪と寒邪が結合したものです。風邪は、自然界の風が引き起こす現象に似た症状があらわれる病邪であり、寒邪は、自然界の寒冷が引き起こす現象に似た症状があらわれる病邪です。この風寒邪が頭部に侵入して片頭痛を起こしやすい体質と思われます。
この体質の場合は、風寒を発散させて除去する漢方薬で、片頭痛を治療します。
この患者さんは、漢方薬の服用を始めて4か月目、一度も片頭痛が来ませんでした。7か月目を最後に発作は起きなくなりました。漢方薬を1年間服用し廃薬しましたが、その後片頭痛は起きていません。
■症例3「頭痛持ちです。台風の接近など、天気がわるくなるときに発作が生じます。病院では片頭痛と診断されています」
台風シーズンのほかに、梅雨時も片頭痛をよく起こします。冷え症で寒さにも弱く、寒波が押し寄せてくるときに痛むこともあります。疲れやすく、あまり食欲がありません。舌は淡紅色でぼってりとしており、白く湿った舌苔が付着しています。
この患者さんの証は、「寒飲(かんいん)」です。寒飲とは寒証を伴う痰飲(たんいん)のことです。痰飲は、津液が水分代謝の失調などにより異常な水液と化したものです。
低気圧の接近で頭痛が生じる、冷え症、疲れやすい、食欲不振、ぽってりとした淡紅色の舌、白く湿った舌苔などは、この証の特徴です。めまい、立ちくらみ、肩こり、動悸などの症状がみられることもあります。
この体質の場合は、漢方薬で寒飲を除去し、片頭痛を治療します。この患者さんは梅雨時の6月から漢方薬を服用し始めたところ、9月の台風シーズンは去年より明らかに楽に過ごせました。
年末から年始にかけて冷え込む日が多くありましたが、冬の間に片頭痛になったのは2回だけでした。1年後の梅雨時は、まったく頭痛に見舞われずに過ごすことができました。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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