バセドウ病(体験談)

バセドウ病が漢方で治った体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

バセドウ病が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

気の流れを漢方薬で整えてバセドウ病を治療した症例

「バセドウ病です。体が熱く感じ、汗をたくさんかきます」

感情の起伏が激しく、驚きやすく、興奮しやすいほうです。そのせいもあり、寝つきがよくありません。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。

この患者さんは、気の流れが滞りやすく、また熱を帯びやすい体質です。そのため、気の流れの悪化が原因でバセドウ病になっているようです。暑がり、多汗、感情の起伏が激しい、興奮しやすい、不眠、紅い舌、黄色い舌苔などは、この体質の特徴です。のぼせ、手指の震えなどの症状がみられることもあります。

この体質の場合は、気の流れをスムーズにして熱証を鎮める漢方薬を用いて治療にあたります。この患者さんには、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を服用してもらいました。服用を始めて1か月後、熱感や多汗の症状が軽くなり始めました。6か月後には甲状腺ホルモンの検査値も正常になりました。

口が苦い、など熱証が強いなら、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)が効果的です。熱証がみられないようなら、四逆散(しぎゃくさん)、逍遙散(しょうようさん)などを用います。

腫瘤(はれもの)ができやすい体質そのものから改善した症例

「もう何年にも渡りバセドウ病の薬を飲んでいます。飲んでいれば症状は落ち着き、病気のことをすっかり忘れて日常生活を送れますが、服用をやめると症状が再発します。手術やアイソトープなど、別の治療法について検討してはどうかと病院で言われていますが、したくありません」

疲れやすく、動悸、息切れが生じます。不整脈があります。舌は紅く乾燥し、痩せています。舌苔はあまり付着していません。

この患者さんは、腫瘤(はれもの)ができやすい体質が根本にあるようです。そこに熱証が加わり、バセドウ病になったものと思われます。

この体質の場合は、漢方薬で潤いを補い、硬くなった甲状腺腫を柔らかくしていくことで、バセドウ病の治療を進めます。この患者さんには、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)を服用してもらいました。その結果、半年後の検査で改善がみられ始め、1年後にはバセドウ病の薬を飲まなくても大丈夫なまでになりました。

目の乾き、めまいなどの症状を伴う場合もあります。そのようなときは、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)などが効果的です。

体内の過剰物や血流の停滞を取り除いて治療した症例

「バセドウ病です。のどから胸にかけて苦しい感じがあります」

長年にわたり、病院の薬でコントロールしています。吐き気もあり、食欲不振です。甲状腺腫に触れると、硬く腫れています。舌は赤紫色で、舌苔がべっとりと付着しています。

この患者さんは、体内に過剰物がたまりやすい上に、血流も滞りやすい体質です。過剰物や血流の停滞により、甲状腺腫が生じ、バセドウ病になったのでしょう。胸苦しい、吐き気、食欲不振、硬い腫れ、赤紫色の舌、べっとりと付着する舌苔などは、この体質でみられやすい症状です。便秘、月経痛、月経不順などの症状がみられることもあります。

この体質の場合は、漢方薬で過剰物や血流の停滞を取り除き、バセドウ病を治療していきます。この患者さんには、温胆湯(うんたんとう)と桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を合わせて服用してもらいました。2か月後には胸苦しい感じが和らぎ、吐き気も減りました。6か月後にはのどの腫れがなくなり、8か月後には病院からの抗甲状腺薬の投薬がなくなりました。その後は定期的に通院する経過観察で済むようになりました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。帝国ホテルプラザ東京内「薬石花房 幸福薬局」代表。薬剤師・中医師。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の一般向けの健康情報サイト「日経グッデイ」や、医師・薬剤師向けの情報サイト「日経DI(ドラッグインフォメーション)」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。

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