バセドウ病

漢方はバセドウ病に至った根本原因に働きかけ、機能改善を目指す


バセドウ病は、新陳代謝を盛んにするホルモン(甲状腺ホルモン)が過剰に作られる病態(甲状腺機能亢進症)の代表的なもので、女性に多い自己免疫疾患の1つです。この病気を研究発表したドイツ人医師の名前にちなんで名付けられました。

(バセドウ病の症例紹介ページは こちら

甲状腺は、甲状腺ホルモンを作る臓器(内分泌器官)で、頸の前の部分、喉仏のすぐ下の、唾を飲み込むときに動く辺りにあります。

甲状腺の働きを調節する機能が失調し、甲状腺ホルモンが過剰に作られるようになったのが、バセドウ病です。

バセドウ病になると、甲状腺が腫れるので(甲状腺腫)、頸が太くなったように見えます。

そして新陳代謝が必要以上に活発になり、特に動いていなくても必要以上にエネルギーを消費する状態となります。つまり、じっとしているときでも体は走っているときと同じような状態ということです。そして甲状腺機能亢進症に特有の以下のような症状が表れます。

いつも走り続けているような状態なので、疲れやすくなる
多くの酸素を必要とするので、動悸、息切れが生じる
暑がりで、汗をかきやすい
手指のふるえが生じる
精神的にも、いらいらしやすく、興奮しやすく、眠りにくくなる
エネルギー消費が多いので、食欲があるのに痩せる
高血圧、高血糖、痒み、月経期間の短縮、経血の減少などの症候
眼球突出(5人に1人ほどの割合)

 
◆西洋医学ではホルモン抑制や甲状腺切除、漢方では流れの改善で根本治療


西洋医学的には、甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬(チアマゾール[商品名メルカゾール他]、プロピルチオウラシル[プロパジール、チウラジール他]など)で甲状腺ホルモン量をコントロールする方法や、放射性ヨウ素の入ったカプセルを内服し、甲状腺の細胞を減らすアイソトープ治療、甲状腺を外科的に切除する手術などの方法で治療に当たります。

中医学では、バセドウ病は癭病(えいびょう)という病気に含まれます。

精神的なストレスや、飲食の習慣の不摂生などの影響で、気・血(けつ)・津液(しんえき)の流れが滞り、頸の前に腫れものができる病気です。癭気、癭瘤とも呼ばれます。

従って中医学では、滞っている気・血・津液の流れを潤滑にすることにより、バセドウ病の根本治療を進めます。

バセドウ病に至った背景となる体質は人によって違うので漢方薬も一律ではありません。信頼できる専門家に相談し、自分の状態に合った漢方薬を処方してもらう必要があります。比較的多いケースを以下に紹介します。

 

◆バセドウ病の背景によくある体質・・・あなたはどれ?


<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1)「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証

胸苦しい、情緒変動で症状が出やすいなどの症状がみられるようならこの証です。

体の諸機能を調節する臓腑である、五臓の肝の機能(肝気)がスムーズに働いていない体質です。

ストレスや、緊張の持続、激しい感情の起伏などの影響で肝気が失調することにより、この証になります。

肝気の流れの悪化、つまり気・血・津液のうち、気の流れの停滞によるバセドウ病です。甲状腺腫は軟らかめです。

→ 漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、バセドウ病を治療します。

(2)「肝火(かんか)」証

汗がよく出る、のぼせ、暑がり、感情の起伏が激しい、興奮しやすい、不眠、眼球突出、手指のふるえ、口が苦いなどの症状が強いならこの証です。

(1)の肝鬱気滞が熱を帯びて生じたもので、落ち着かず、煩わしい不快な熱感を伴います。

→ 漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮め、バセドウ病を治していきます。


(3)「血瘀(けつお)」証

甲状腺の腫れが硬いようならこの証です。

血流が鬱滞しやすい体質です。

精神的ストレスや、冷え、体内の水液の停滞、生理機能の低下などにより、この証になります。疾患や体調不良が慢性化、長期化してこの証になる場合もあります。

気・血・津液のうち、血の流れの停滞によるバセドウ病です。

→ 血行を促進する漢方薬でバセドウ病を治療します。

(4)「痰湿(たんしつ)」証

腫瘤(はれ、できもの、しこり)ができやすい体質であるために、この病気になるタイプです。

「痰湿凝結」とも称します。痰湿というのは体内にたまった過剰な水分や湿気のことです。この痰湿が甲状腺腫を形成し、バセドウ病になります。

胸苦しい、悪心、嘔吐、食欲不振、便秘などの症状を伴います。

食べ過ぎ、食事の不摂生などによっても、この証になります。

気・血・津液のうち、津液の流れの停滞によるバセドウ病です。(1)の肝鬱気滞と合わせてみられることも多く、その場合は、「気鬱痰阻(きうつたんそ)」証と呼びます。(3)の血瘀と合わさると、「痰結血瘀(たんけつけつお)」証です。

→ 痰湿を取り除く漢方薬で体質を改善し、バセドウ病を治していきます。


(5)「心肝陰虚(しんかんいんきょ)」証

病気が長期化して、動悸、不整脈、胸部のざわざわとした落ち着かない不安感(心煩)、それに伴う不眠、多汗、手指のふるえ、目の乾き、めまい、口渇、疲労倦怠感などの症候が強いならこの証です。

五臓の心(しん)と肝(かん)の陰液が消耗している体質です。痰湿により生じる熱証が陰液を消耗し、この証になります。前述の症候は、全て心肝の陰液欠乏により生じたものです。

→漢方薬で心肝の陰液を補い、バセドウ病の治療を進めます。


◆バセドウ病に効果的な漢方薬


柴胡加竜骨牡蛎湯、竜胆瀉肝湯、四逆散、逍遙散、炙甘草湯、杞菊地黄丸、温胆湯、桂枝茯苓丸、香砂六君子湯

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。
どうぞお気軽にご連絡をください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

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