不眠症(中途覚醒)(体験談)
不眠症(中途覚醒)が漢方で治った体験談
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
不眠症(中途覚醒)が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。
(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら)
不安感や動悸を伴う中途覚醒を漢方薬で治療した症例
「中途覚醒で悩んでいます。ほぼ毎日、寝てから3時間後くらいに目が覚めます。不安感が強いせいか、目覚めたときには動悸がしています」
尿意で目覚めるのではなく、ぱっと目が覚めます。そのあとすぐには眠りにつけず、睡眠不足気味です。昔から、疲れやすいほうです。心療内科を受診し睡眠薬を処方されましたが、飲みたくありません。舌は白く、白い舌苔が薄く付着しています。
この患者さんは、五臓の心(しん)の機能が低下している体質です。五臓の心は、意識や思惟など高次の精神活動をつかさどります。この心が弱っている状態が、この体質です。漢方で「心気虚(しんききょ)」という体質です。心が弱まることにより眠りが浅くなり、中途覚醒が起こります。動悸、不安感、疲労倦怠感、白い舌、白く薄い舌苔などは、この体質の特徴です。
この体質の場合は、五臓の心の機能を漢方薬で補うことにより、中途覚醒を治療します。この患者さんには、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などを服用してもらいました。服用を始めて1か月後、朝まで起きずに眠れる日が増えてきました。2か月後、週のうち半分は中途覚醒せずに眠れるようになりました。動悸することも減りました。5か月後には、ほぼ毎日熟睡できるようになり、疲れにくくなってきました。
何度も夜中に目が覚めるタイプの中途覚醒を漢方治療した症例
「夜中に何度も目が覚めます。入眠して3時間ほどは続けて眠れますが、そのあとは2時間おき、ひどいときは1時間おきに、また目が覚めます」
緊張しやすく、焦燥感が強く、じっとしていられないほうです。中途覚醒のために睡眠がじゅうぶん足りていないのか、昼間に強い眠気に襲われ、うとうとしてしまいます。冬でも寝汗をかきます。舌は紅く、舌苔はあまり付着していません。
この患者さんは、漢方でいう「心腎不交(しんじんふこう)」という体質です。腎も心と同じく五臓のひとつで、全身を養い潤す働きがあります。健康な状態では、腎が心を潤して安定させ、心が腎を温めて腎の機能を安定させていますが、この均衡が崩れると、この体質になります。そして心の機能が失調することにより、中途覚醒になります。この患者さんは、緊張の持続などにより、心と腎の機能が失調し、中途覚醒するようになったのでしょう。
この体質の場合は、漢方薬で五臓の心と腎の関係を修復することにより、中途覚醒の治療を進めます。この患者さんには、黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)などを服用してもらいました。服用を始めて2か月後、相変わらず入眠して3時間後に目が覚めますが、そのあと再び目覚めることが減ってきました。昼間の眠気もなくなってきました。5か月後には、一度も目覚めずに朝を迎える日が増えてきました。寝汗もかかなくなりました。
夢をよく見て眠りが浅いタイプの中途覚醒の漢方治療症例
「中途覚醒に悩んでいます。寝つきはさほど悪くはないのですが、夜中に2〜3度、ふと目が覚めます」
夢をよく見ます。睡眠不足で、朝からだるく、疲れています。心配性で、気にしなくてもいいようなことにでも思い悩むほうです。病院で処方される睡眠薬を飲むと、頭痛や集中力の低下などの副作用がつらく、服用していません。このところ物忘れが増えてきました。舌は紅い色をしています。
この患者さんは、五臓の心がじゅうぶん養われていない体質です。漢方でいう「心血虚(しんけっきょ)」という体質です。思い悩み過ぎなどの影響で心の潤いが減り、中途覚醒を起こすようになったのでしょう。夢をよく見る、心配性、物忘れ(健忘)などは、この体質の特徴です。
この体質の場合は、漢方薬で心を潤すことにより、中途覚醒の治療をします。この患者さんには、酸棗仁湯(さんそうにんとう)などを服用してもらいました。1か月後、夜中に目覚める回数が減ってきました。3か月後、中途覚醒せずに朝まで眠れる日が増えてきました。6か月後、中途覚醒する日が1週間のうち1〜2日に減りました。毎日のように夢を見ることもなくなりました。
いらいらしやすい、憂鬱感などの症状もみられるようなら、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などを用います。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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