◆漢方で体質改善したら痔も治った

漢方相談に見える方にお話をうかがっていると、痔をお持ちの方が多いことに気づきます。

当薬局(東京・帝国ホテル内 薬石花房 幸福薬局)では痔の悩みを主訴とされる方はもちろん、他の悩みでいらした方も、漢方薬の服用によって痔が治ったと喜ばれることが珍しくありません。

漢方で痔が治る理由は、体質改善によって痔を引き起こしていた体質的な原因が改善されるからです。

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◆痔の種類


痔は肛門やその付近に生じる病気の総称です。痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)などがあり、多いのは、痔核と裂肛です。

● 痔核(いぼ痔)
肛門付近がいぼのように腫れて起こる痔。
肛門の内側(直腸粘膜)に生じる内痔核は痛みを感じないが、肛門の外側の肛門上皮に生じる、外痔核は痛みを伴う。
内痔核などの直腸粘膜が肛門の外に押し出された状態を、脱肛という。

● 裂肛(切れ痔)
肛門部分の皮膚である肛門上皮が切れる痔。痛みがある。

● 痔瘻(あな痔)
肛門に細菌が感染して生じた膿が肛門周囲にたまり(肛門周囲膿瘍)、直腸と肛門付近の皮膚の間に膿が通る穴(トンネル)が生じる痔。


◆痔の原因と漢方による根本治療


痔を誘発する原因には、便秘や下痢、排便時のいきみなどによる肛門への圧力や負荷、長時間にわたる座りっぱなしの姿勢、肛門部の鬱血、アルコールや刺激物の取り過ぎ、冷え、ストレスなどがあります。

さらに漢方では、痔になりやすい体質的な原因も見極めます。詳しくは次項で説明します。

漢方では、患者の体質(証)に合わせた漢方薬を用いることにより、肛門部の鬱血を除去し、便通を調え、冷えを解消し、ストレスに対する抵抗性を高めて腸の蠕動運動を正常化するなどして、痔を根本治療することがが可能です。

痔がなかなか治らない方、繰り返し痔ができてしまう方は、漢方薬で「痔になりやすい体質」を改善して「痔になりにく体質」になることにより、痔の根本的な治療を進め、痔の再発を予防するといいでしょう。


◆痔になりやすい体質・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1)「湿熱(しつねつ)」証

痔核や裂肛で、便がねっとりと粘性で、しかもすっきり出ないタイプの痔に多い。

体内で過剰な湿気と熱が結合している状態。「大腸湿熱(だいちょうしつねつ)」証とも呼ばれる。

主な原因: 清潔とはいえない生活環境、脂っこいもの、刺激物、味の濃いもの、生もの、アルコール類の日常的摂取や大量摂取、不潔なものの飲食、細菌の肛門への侵入。

→ 肛門部の血行を改善しつつ湿熱を除去する漢方薬を用いる。

(2)「実熱燥結(じつねつそうけつ)」証

痔核などで、便が硬く乾燥している場合に多い。

体内の熱気が盛んで(実熱)体液などの水分が減少している状態。

主な原因:暴飲暴食、腸管の炎症、ストレスによる自律神経の過亢進。

→ 腸の実熱を冷ます漢方薬を用いる。

(3)「陰虚燥結(いんきょそうけつ)」証

裂肛などで、便が硬く乾燥し、口渇を伴う場合に多い。便はころころとしており、うさぎの糞のようで、少量しか出ない。

主な原因: 不規則な生活、睡眠不足、働きすぎ。

陰液(血液や体液など必要な水分)が不足したことで相対的に熱が高まって(虚熱)大腸の潤いが不十分になった状態。

→ 腸を潤して虚熱を除去する漢方薬を用いる。

(4)「血瘀(けつお)」証

肛門部の鬱血が顕著な場合に多い。

血流が鬱滞しやすい体質。

主な原因: 精神的ストレス、寒冷などの生活環境、不適切な食生活、運動不足、体内の水液の停滞、生理機能の低下、疾患や体調不良が慢性化、長期化。

→ 便通を調えつつ血行を促進する漢方薬を用いる。

(5)「中気下陥(ちゅうきげかん)」証

脱肛している場合に多い。食欲不振や胃腸不良を伴うことが多い。

主な原因: 虚弱体質、過労、病後、産後

体内のエネルギーである「気」が衰えて臓器を定位置にとどめる力が弱っている状態。ベースに胃腸が弱い「脾気虚(ひききょ)」証がある。

→ 気の固摂作用(引き締める力)を高める漢方薬を用いる。

(6)「気虚風湿熱(ききょふうしつねつ)」証

痔瘻の場合に多い。

免疫力が低下しているため、化膿した部分からいつまでも膿が排出できない体質。

主な原因: 虚弱体質、疲労の蓄積

→ 体力をつけて体内から膿を排出していく漢方薬を用いる。


◆痔に効果的な漢方薬


当薬局では詳しい問診で前項のような「証」を判断し、さらに個々のケースに即して最適の処方を慎重に選んでいます。

痔に比較的よく使われる処方は以下のとおりです。

乙字湯、調胃承気湯、大承気湯、麻子仁丸、潤腸湯、大黄牡丹皮湯、桃核承気湯、補中益気湯、千金内托散、芎帰膠艾湯、麻杏甘石湯

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。
どうぞお気軽にご連絡をください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

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