貧血

◆西洋医学は鉄分を補充、漢方は自分の血を作り出す力=造血作用を高める 


西洋医学で貧血とは、血液中の赤血球やそこに含まれるヘモグロビン(血色素)が少なくなった状態のことです。

酸素を運搬するヘモグロビンが少ないと全身が酸欠状態となり、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、頭重感、頭痛、動悸、息切れ、顔や唇の色が悪い、肩凝りなどの症状が生じます。

ヘモグロビンに含まれる鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血が最も多く、鉄剤が処方されます。

漢方では、貧血は(けつ)の不足ととらえます。は体内を流れる基本的な物質の1つで、血液だけでなく、血液が運ぶ栄養や血液循環も含めた広い意味です。全身の組織に栄養を与えて滋養するのがその機能です。

は、主に飲食物から作られます。まず飲食物は六腑の1つであるに受け入れられ、消化を経て人体に有用な形()に変化し、五臓の1つであるに渡されます。は、を吸収してに持ち上げて気血を生成し、全身に輸送します。

以上のように飲食物をもとに血が作られますが、特に吸収との生成をつかさどるが、貧血の治療には重要な役割を果たします。

もう1つ、五臓のが蔵する(せい)からもは作られます。は、生きるために必要なエネルギー()や栄養()の基本物質で、気血を生成する機能があります。

従って漢方では、貧血に対しては、を補うだけでなく、の機能を高めることにより、人が自分で自分の血を作り出す力、つまり造血作用を高めることを重視して治療に当たります。

ヘモグロビンの材料の1つである鉄を薬剤として補給して、貧血の数値を改善していく西洋医学とは、また別のアプローチといえます。

また、漢方では「貧血に効く処方」が一律に決まっているわけではなく、個人個人の体質的な背景を見極めたうえで、各自に最適の処方を選びます。同じ貧血であっても、そこに至った要因は人によって異なり、その根本原因を改善に導くのが漢方の考え方なのです。

貧血の背景によくある体質を、以下に紹介します。実際には一つの体質が単独で貧血を引き起こすことは少なく、複数の要因が絡み合っているので、専門的な判断が必要です。

(貧血が改善した症例紹介ページは こちら

◆貧血の背景によくある体質・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1) 「脾気虚(ひききょ)」証

消化吸収力が弱い体質。

の機能が弱い体質であるため、飲食物の吸収機能や血を生成する力が弱く、その結果、貧血になります。

→ 漢方薬で脾の機能を強めて運化を正常に行わせ、貧血の治療を進めます。

(2) 「脾陽虚(ひようきょ)」証

脾気虚の程度が進んで、身体を温める力が衰えた体質。

貧血プラス冷え症の人によくみられる体質です。お腹や手足が冷える、お腹がしくしく痛む、などの寒証がみられます。

→ 消化吸収機能を調えて体内のエネルギーを高め、身体を芯から温めてくれる漢方薬が有効です。

(3) 「血虚(けっきょ)」

人体に必要な血液や栄養が不足している体質。

まさに貧血状態そのものを表しており、貧血の治療においてはこの証を考慮するのが基本です。

偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などにより、この証になります。

→ 漢方薬で血を補い、貧血を改善させていきます。

ただし血が補われても造血作用が高まるわけではありませんので、貧血の根本治療には、根本にある原因の改善を同時に進める必要があります。脾気虚が強い場合などは、血虚よりも脾気虚の治療に専念した方が効果的なこともあります。

(4) 「気血両虚(きけつりょうきょ)」証

脾気虚と血虚がある体質。

「気血両虚(きけつりょうきょ)」証の治療は、(3)の血虚だけでなく、背景にある(1)の脾気虚も同時に改善するので、貧血の漢方治療の有効な手段です。

→ 気と血の両方を補う漢方薬を使い、血を補いつつ造血機能を高め、貧血の根本治療を進めます。

(5) 「腎陽虚(じんようきょ)」証

腎陽(腎のエネルギー)が不足している体質。

貧血がなかなか改善しない、あるいは繰り返し起きてしまうようならこの証かもしれません。

生活の不摂生、過労、加齢、慢性疾患による体力低下などによって人体の機能が衰え、冷えが生じてこの証になります。

腎陽が虚弱になると、骨髄の造血作用が衰え、貧血になります。

→ 腎陽を補う漢方薬で貧血に対処します。

(6) 「腎陰虚(じんいんきょ)」証

腎陰(腎の水液)が不足している体質。

同じように腎が衰弱する場合でも、冷えとは逆に、のぼせや手足のほてりを伴う場合がこの証です。

過労、不規則な生活、大病や慢性的な体調不良、性生活の不摂生、加齢などにより精、つまり気血の基本物質が減り、貧血になります。

→ 腎の精気など腎陰を補う漢方薬で貧血を治療します。


◆貧血に効果的な漢方薬

十全大補湯、人参養栄湯、帰脾湯、加味帰脾湯、四君子湯、六君子湯、香砂六君子湯、人参湯、六味地黄丸、杞菊地黄丸、八味地黄丸、四物湯、芎帰膠艾湯

***

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。

どうぞお気軽にご連絡をください。

薬石花房 幸福薬局 ご予約はこちらから

関連ページ・症例・エッセイなど


不正出血子宮筋腫過多月経痩せすぎ(低体重)

自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

カウンセリングスタッフ紹介