脳梗塞の漢方治療(予防・後遺症の緩和・再発防止)

突然起こる脳梗塞・・・心配なら日頃から漢方で予防を、再発防止にも

脳血管障害により、急激に意識障害や神経症状が出現する病態を「脳卒中」といいます。脳卒中は、日本人の死因の第3位をしめる病気です。

このうち、血管が血栓(血のかたまり)でふさがれるなどして、血管が詰まったり細くなったりしてしまう虚血性脳卒中を「脳梗塞」といいます。脳梗塞のほかには、脳の血管が破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」があります。

脳梗塞の場合、血管が詰まったり細くなったりして血液が流れにくくなり、その先にじゅうぶんな酸素や栄養が供給されなくなるので、脳の組織が壊死していきます。

脳梗塞には、脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」、脳の太い血管や頸動脈に血栓ができて詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」、心臓にできた血栓が血流に乗って脳に運ばれ脳の太い血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」の3つの型があります。

(症例紹介ページは こちら


◆脳梗塞の症状

片麻痺・言語障害(構音障害や失語)・意識障害・ふらつき・立てない・歩けない・感覚障害(しびれなど)・視野の異常・頭痛・嘔吐など。
重い後遺症を残す場合も多く、死につながる場合も。
認知症のひとつである脳血管性認知症を引き起こすことも。


◆脳梗塞の背景要因

動脈硬化症・高血圧症糖尿病・高脂血症など。
心筋梗塞や心房細動などの心臓疾患
アルコールの多飲や塩分の摂り過ぎなど食生活の不摂生。
喫煙、運動不足、肥満など。


◆脳梗塞の治療における漢方の役割

発作時の救急処置や出血あるいは梗塞部位の解明のための精密検査などの西洋医学的対応が欠かせませんが、脳梗塞の「予防」 や「再発防止」には、漢方薬の、血液をサラサラさせるなど体質を改善する作用を用いると効果的です。

中医学(中国の医学)では、ドロドロの血液をサラサラにしたり、五臓の不調和や気血の流れの阻滞を改善したりすることに より、脳の病気に対しても良好な効果を上げています。

また、引き金となる別の病気(動脈硬化症・高血圧症糖尿病・高脂血症な ど)に対して、血管の柔軟性を増したり、血糖値や血中コレステロール値・中性脂肪値を下げ、また場合によってはストレスに 対する抵抗性を上げたりすることにより、脳梗塞の予防効果が期待できます。

発作後においても壊死部分周辺のうっ血や浮腫をすみやかに軽減させて回復を早めます。漢方薬は血行を改善したり自律神経系を調節したりする働きが強いので、無理なく自然なかたちで改善に当たることができます。

いずれの場合も、脳梗塞が起こる背景には、体質的な原因があります。中医学の視点で見ると、臓腑の心・肝・腎の機能失調、あるいは痰飲(たんいん)、血瘀(けつお)、気虚、内風などの病邪の存在が大きく関わっています。

漢方はこうした個人個人の体質的な要因を見極め、その問題を是正する治療法です。それによって脳梗塞の発症や再発を防ぎ、予後の経過を改善する方向へ体を導いていくのです。

ですから使う漢方薬は一様ではなく、ひとりひとり違います。例えばどんなケースがあるのか、よくあるタイプを以下に紹介します。

 

◆脳梗塞を起こしやすいタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1)「痰迷心竅(たんめいしんきょう)」証

ひとりごと、痰が多い、情緒不安定、知覚麻痺、舌がふるえる、などの症状がみられる場合はこの証です。

は五臓のひとつで、心臓を含めた血液循環系の維持と、人間の意識や判断、思惟などの人間らしい高次の精神活動の遂行が、おもな機能です。

このの高次精神活動をおこなう機能がによって阻害された状態がこの証です。

とは体内にたまった過剰な水湿のうち流動性の少ない粘り気のあるものを指し、脂肪や血糖なども含まれると考えられます。

体液代謝の失調や低下、炎症、循環障害、ホルモン異常、代謝産物の体内蓄積、食べすぎ、食事の不摂生などによって痰が生じます。

暴飲暴食や、精神的なストレスがあるとこの証になりやすくなります。

→ 痰飲を除去する漢方薬により、脳梗塞の後遺症の緩和や再発防止、予防に当たります。

 

(2)「気虚血瘀(ききょけつお)」証

手足に力が入らない、手足の痛み、舌のこわばり、などの症状がみられる場合はこの証です。

気虚」と「血瘀」の二つの証が同時に生じている状態です。

気虚は生命エネルギーを意味する「」が不足している体質で、過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、なります。

血瘀は人体に必要な血液や栄養を意味する「」の流れが鬱滞しやすい体質で、血管の微小循環障害や、流動性の異常、精神的ストレス、寒冷刺激、不適切な食生活、運動不足、疾患や体調不良の長期化などにより、この証になります。

脳の機能低下(気虚)や脳の血管障害(血瘀)が関与して、脳梗塞となります。

→ 足りない気を補い血行を促進する漢方薬を用いて、脳梗塞の再発防止や後遺症の緩和、予防をします



(3)「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」証

足腰に力が入らない、手足のしびれ、物忘れ、などの症状がみられる場合はこの証です。

は五臓のひとつで、からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる働きを持ちます。自律神経系と関係が深い臓腑です。

も五臓のひとつで、生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖、ならびに水液や骨をつかさどる臓腑です。

これら肝と腎の陰液(血液や体液)が不足している体質が、この証です。

過労、生活の不摂生、大病や慢性的な体調不良、加齢などにより、肝腎両方の陰液が減ると、この証になります。加齢に伴い生じる脳梗塞と深い関係にある証です。

→ 肝腎の陰液を補う漢方薬を使います。

 

(4)「気血両虚(きけつりょうきょ)」証

脱力感、無気力、腕に力が入らない、動作緩慢、よだれ、しゃべりたがらない、などの症状がみられるようならこの証です。

気虚」と「血虚」の二つの証が同時に生じている状態です。

気虚は生命エネルギーを意味する「」が不足している体質で、過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、なります。

血虚は人体に必要な血液や栄養を意味する「」が不足している体質で、偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などにより、なります。

この証であったために脳梗塞になる場合もありますし、脳梗塞になった結果この証になる場合もあります。

→ 不足している、あるいは失われた気血を漢方薬で補うことにより、脳梗塞の再発防止や後遺症の緩和、予防をします。

 

◆脳梗塞に効果的な漢方薬


温胆湯、導痰湯、杞菊地黄丸、補陽還五湯、十全大補湯


あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。

◆日常生活での主な注意点

脳の病気に対しては、予防と再発防止も重要な対策となります。漢方薬による改善と並行して、以下のような養生を心がけてください。

1: 高カロリー高たんぱくの動物性食品の摂取量を控えめにする

2: 適度な運動をする(一日一万歩を目標にする、など)

3: ストレスをためない工夫をする(趣味・運動・週末の気分転換など)

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

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