狭心症・心筋梗塞

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

発作の予防が肝心・・・動脈硬化の可能性があるなら早めに体質改善を

当薬局では狭心症・心筋梗塞の心配がある方の予防や、発作後の早期回復のための漢方治療のご相談をお受けしています。

五十歳の編集者は、五年前から人間ドックのたびに、高脂血症といわれている。脂肪肝もあるといわれている。暴飲暴食と運動不足が原因だといわれるが、そんなことはわかっている。痛みや倦怠感などの自覚症状はまったくなかった。

ところが一年前のある日、強烈な胸痛に襲われた。救急車で運ばれた病院で、狭心症だといわれた。命が惜しければ、まじめに薬を飲めといわれ、抗高脂血症剤をわたされた。

動脈硬化がすすんでいるかもしれないといわれ、紹介された別の循環器専門の病院へ行ってみた。両手両足に血圧計をつけて調べる装置で検査され、あなたは立派な動脈硬化、血管の年齢はすでに七十歳の状態です、といわれた。

相当おどされたので、薬は毎日まじめに飲んだ。三カ月後の検査では、血圧、コレステロール、中性脂肪、いずれも順調にさがっていた。

そのうち、また薬を飲まなくなった。一年後に検査すると、血圧、コレステロールなどの数値が、またあがっていた。これらの薬は、一生飲み続けなければだめだ、そういうものだ、といわれた。

――自分のからだのこととはいえ、納得がいかないなあ。

そんなとき、狭心症の体質改善に漢方がいい、という新聞のコラムをみつけた。なんとなく現代医療の冷たさに嫌気がさしていたこともあり、漢方薬局に行ってみた。

狭心症の体質改善の場合、漢方でもすぐに効果が現れない場合が多いので、はじめのうちは病院の薬も漢方薬と並行してきちんと服用するように、といわれた。しばらく漢方を続けてみることにした。

高脂血症や動脈硬化の困るところは、自覚症状がないことである。血液中のコレステロールや中性脂肪が増えても、本人は痛くもかゆくもない。しかし血管の内壁は着実に侵され続けることになる。知らないうちに動脈硬化がすすみ、ある日、心臓や脳で血管がつまることになる。心臓や脳の病気で死ぬ人は、がんに次いで多い。

漢方でみられる比較的多い体質に、痰飲がある。食べすぎ飲みすぎの結果、からだに余分なものが蓄積されている。体重の増加や頭痛、いらいら、便秘をともなう場合も多い。慢性化すると熱をともなって湿熱と化し、湿疹や蕁麻疹高血圧脱毛を併発するケースもよくみかける。

先の男性の場合は、半夏、天南星、赤芍などで痰飲の体質を改善していき、一年後には西洋医薬を飲まなくてもコレステロール値が高くならないようになった。漢方薬も必要なくなるのはまだまだ先の話であろうが、血圧や肝臓の状態もよく、気力も体力も充実しているので、積極的に漢方を飲み続けているという。……

(幸井俊高著『男のための漢方』(文春新書)より抜粋・一部改訂)

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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