喘息(気管支喘息)
◆喘息の背景には慢性的な気管支の炎症・・・根本を治さなければ!
当薬局では気管支喘息の漢方治療のご相談をお受けしています。
漢方による喘息治療の症例は こちら
喘息患者が増えています。全国に500万人前後いらっしゃるようです。住環境や生活習慣の変化によって喘息の原因となるアレルギー物質が増えていることや、体質そのものがアレルギー体質のかたが年々増えていることが背景にあると思われます。大人になってから喘息にかかる人も増加しています。
喘息は、息がゼイゼイ、ヒューヒューと鳴る喘鳴や、息苦しさ、咳、痰、そしてひどいときには呼吸困難を引き起す苦しい病気です。ハウスダストやダニが原因で引き起される気管支のアレルギー反応だと考えられてきました。
しかし近年になって、喘息の症状が出ていないときでも気管支に慢性的な炎症があり、それがさまざまなきっかけで悪化して喘息の発作を引き起していることがわかってきました。
現代医学で喘息が治りにくい病気とされてきたのは、その慢性的な気管支の炎症を放置してきたからだともいわれています。対症療法により気管支を拡張しアレルギー反応を抑制して発作を抑えても、気管支の炎症はそのままです。
その点、漢方では古来より漢方薬によるアレルギー体質の改善と並行して、気管支の炎症を和らげる生薬を用いていました。それが喘息の根本的な改善に漢方が有効であるというひとつのポイントかもしれません。
気管支の内側は粘膜でできており、外側は平滑筋でできています。その粘膜が何らかの刺激で炎症を起こしたとき、粘膜がむくみ、痰が分泌され、そのぶん気道が狭くなります。同時に気管支を取り囲む平滑筋が収縮するので気道がますます細くなり、喘息の発作が起こります。
発作の誘引となるのは、ハウスダストやダニ、花粉など明快に把握できる場合ばかりではありません。むしろかぜを引いたときや天候の変化、季節の変わり目、疲れのたまったとき、ストレスがかかっているときなどにも頻繁に発作が起こります。
そしてこれらの刺激に反応して発作を起こす根底に、慢性的な気管支粘膜の炎症がある、ととらえるのが昔からの漢方の考え方であり、最近の西洋医学の認識でもあるのです。
喘息のつらさは、息が吸えない、息が吐けない、という苦しさにあります。気道が狭くなっているために吸った息を吐くことができず肺の中に空気がたまって呼吸もままならず、ときに生命の不安さえ感じます。
喘息の治療として、発作の治療以外に、体質改善による発作の予防が重要視されるのは、このためです。
◆喘息に対する西洋医学と漢方の違い
西洋医学では
西洋医学では、吸入ステロイド剤を用いて気管支の炎症を取り除く治療法が、現在の主流です。またこれとは別に、喘息の発作を抑えるために気管支を広げる気管支拡張剤や、発作を誘発するアレルギー反応を抑える抗アレルギー剤も用いられます。通常はステロイド剤の吸入を行い、発作のときに気管支拡張剤を用いるというのが一般的です。
ただし抗アレルギー剤や気管支拡張剤などは、対症療法の薬です。
漢方では
漢方では漢方薬を用いてからだ全体のバランスを整え、心身の調和を図ることにより喘息の根本的な改善を進めます。西洋医学でもなかなか治らないかたに対しても、かなりの効果を感じることもあります。
ステロイド内用薬が必要なくなったり、気管支拡張剤の吸入なしで暮らせるようになったりという例もあります。
漢方薬により体質そのものを改善し、薬に頼り続けることなく生活ができるようにするのが目標です。
アレルギー体質の改善に成功しないかぎり、アレルギーの原因となるハウスダストなどを除去して環境を整備しても喘息は再発を繰り返します。
なお身体を鍛えて喘息発作に打ち勝つ体力づくりをするのがいいという考えもあるようですが、過度の運動はかえって喘息を悪化させることもありますので注意してください。
◆喘息の6つのタイプ・・・あなたはどれ?
<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>
(1) 「脾気虚(ひききょ」証 → 「脾気陰両虚(ひきいんりょうきょ)」証
消化吸収機能に関係する五臓の「脾」の機能(脾気)が弱い体質。
パワー不足のため処理しきれない水分が停滞して痰となり、これが肺に溜まって喘息体質となったもので、子供の喘息に多くみられます。
脾気を強めて消化吸収機能を高める漢方薬を用います。
◎脾気虚で出やすい症状
疲れやすい、元気がない、声に力がない、食欲減退、軟便、排便回数が多い、白い痰、白くて大きめの舌、べっとりとした白い舌苔 など
◆さらに長期化すると
脾気虚が長期化して脾の陰液(体液など必要な水分)も不足してしまうと脾気陰両虚証になります。
脾気と陰液を補う漢方薬を用います。
◎脾気陰両虚で出やすい症状
口やのどの渇き、唇の乾燥、硬い便、手足のほてり など
(2) 「肺気虚(はいききょ)」証
五臓の肺の機能(肺気)が不足している体質。
過労や慢性的な体調不良などで肺がつかさどる呼吸および体液調節機能が衰えたために、痰が肺に溜まり、喘息体質になったもの。
肺気を補う漢方薬を用いる。
◎肺気虚で出やすい症状
かぜをひきやすい、呼吸が浅く息切れしやすい、透明の痰 など
◆さらにこんなケースも
痰が粘る、舌の乾燥、舌苔が少ないなど乾燥の症状も伴う場合は肺陰虚(体液不足)も加わっているため、肺気と同時に陰液も補う漢方薬を用います。
(3) 「腎虚(じんきょ)」証
五臓の腎の機能が低下した体質。
腎はさまざまな機能を持つ中で、体液代謝の調節や、吸気を深く引き入れる役割も担っているので、腎機能が衰えると痰が溜まったり呼吸の力が弱まったりして喘息が発症することがあります。
生活の不摂生、過労、慢性病による体力低下、加齢などが腎虚をもたらします。
腎の機能を補う漢方薬を用います。
◎腎虚で出やすい症状
疲れやすい、寒がり、耳鳴り、足腰のふらつき、白く湿った舌や舌苔 など
(4) 「肺腎陰虚(はいじんいんきょ)」証
五臓の肺と腎の両方の機能が乱れた体質。
慢性的な体調不良や加齢で肺と腎の陰液(必要な体液)が消耗し体液が濃縮して痰を生んでいます。
肺と腎の陰液を補う漢方薬を用います。
◎肺腎陰虚で出やすい症状
黄色くて粘りのある痰、口・のど・皮膚の乾燥 など
(5) 「脾腎陽虚(ひじんようきょ)」証
五臓の脾と腎の両方の機能が弱った体質。
先天的な虚弱体質、疲労、加齢、慢性疾患などで脾と腎のエネルギーが衰えて水分代謝が失調しています。からだは冷え、さばききれない余分な水分が肺にあふれて喘息の原因となっています。
脾都腎を温めて機能を回復させる漢方薬を用います。
◎脾腎陽虚で出やすい症状
冷え、むくみ、頻尿 など
(6) 「痰熱(たんねつ)」証
痰が熱を帯びて肺に停滞している体質。
ストレスや暴飲暴食などで生じた熱が痰と結びついてこの証になります。
痰熱を除去する漢方薬を用います。
◎痰熱で出やすい症状
痰が黄色く粘りがあってなかなか切れない、尿が濃い など
◆喘息に効果的な漢方薬
前項で説明したように喘息にはいろいろなタイプがあります。
痰が白く微熱が出やすいタイプ、寒がりで尿の回数が多いタイプ、痰が切れにくく口が渇きやすいタイプ、痰が黄色く粘稠で、腹の張りやすいタイプなど、さらにきめ細かく状態を判断してベストの処方を選びます。
効果的な漢方薬:
六君子湯、参苓白朮散、麦門冬湯、八味地黄丸、麦味地黄丸、清肺湯 など
あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。
自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。→当薬局top
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