生理不順の症例

薬石花房 幸福薬局(東京 帝国ホテル内)の漢方治療で生理不順が治った症例

●こちらは症例紹介ページです。以下の解説ページもご参照ください。
頻発月経・稀発月経・周期不安定・無月経
過多月経・過少月経(経血量の異常
生理不


■症例1「経血量が多く、なかなか生理が終わりません。経血に血の固まり(血塊)が混じります」


経血は深紅色をしており、少し粘り気があります(粘稠)。体がほてりやすく、すぐ顔が赤くなります。舌は赤く、黄色い舌苔が付着しています。

この人の証は「血熱(けつねつ)」です。味が濃く脂肪分が多い食生活や精神的なストレス、長期の体調不良、飲酒、喫煙などにより、熱邪が血に侵入した証です。熱邪の影響で出血が促され、経血量が増えます。

過多月経、血塊、深紅色で粘稠な経血、ほてり、顔面紅潮、赤い舌、黄色い舌苔などは、この証の特徴です。頻発月経、黄色い尿、目の充血、いらいら、怒りっぽい、などの症状を伴う場合もあります。

この証の人に対しては、血熱を冷ます漢方薬で、過多月経を解消します。この女性の場合、服用を始めた翌月から経血が減り始めました。経血の色も鮮血に変わっていきました。


■症例2「生理の量が少なく、生理が来ても2、3日で終わってしまいます」

経血は鮮血ではなく淡紅色です。血の固まり(血塊)はありません。生理の後半に、下腹部に鈍痛があります。舌は赤みが少なく、白っぽい色をしています。

この人の証は「血虚(けっきょ)」です。人体に必要な血液や栄養が不足している体質です。偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などにより、この証になります。

血が不足しているために経血量が少なく、過少月経になります。生理周期が遅れる場合(稀発月経)もあります。髪の艶がない、爪が割れやすい、目が疲れるなどの症状がみられることもあります。

この体質の場合は、漢方薬で血を補い、過少月経を治します。この女性は漢方薬を服用することにより経血量が少しずつ増え、半年後には生理期間も5日になりました。


■症例3「生理の量が少なく、将来ちゃんと妊娠できるか心配です」

ぽっちゃりとしたタイプの女性です。経血は淡紅色で、ねっとりとしています(粘稠)。おりもの(帯下)が多いのも気になります。舌には、べっとりとした白い舌苔が付着しています。

この人の証は「痰湿(たんしつ)」です。痰湿とは、体内にたまった過剰な水分や湿気のことです。多食、食事の不摂生、過度の飲酒などにより、この証になります。

痰湿が血の流れを阻害するため経血量が減り、過少月経になります。経血は淡紅色で粘稠、肥満傾向、帯下が多い、べっとりとした白い舌苔などは、この証の特徴です。生理周期が遅れる場合(稀発月経)もあります。腹部膨満感、吐き気、口が粘る、などの症状を伴う場合もあります。

この場合は、漢方薬で痰湿を取り除いて体質を改善し、過少月経を治していきます。この女性は漢方薬を服用し、4カ月後には経血量が増え始め、経血の色や状態もよくなっていきました。体重も減り、喜ばれました。翌年には妊娠しました。

■症例4「生理が早く来たり遅れたりします。経血量も多かったり少なかったり、その時によってまちまちです」

生理がきちんと28日で来ることもありますが、ストレスが強かったり、緊張したりする日が続くと、生理が乱れます。経血には血の固まりが混じります。

もともといらいらしやすい性格ですが、生理前はいらいらがさらに激しくなり、乳房が強く張ります。舌は紅色で、その上に黄色い舌苔が薄く付着しています。

この人の証は「肝鬱気滞(かんうつきたい)」です。からだの諸機能を調節する臓腑である五臓の肝の気(肝気)の流れが滞っています。

ストレスや緊張により、この証になります。肝気の流れの悪化の影響がホルモンバランスの失調に及び、生理が乱れます。

生理周期や経血量が不安定、経血中の血の固まり、生理前のいらいらや乳房の張り、紅色の舌、黄色く薄い舌苔などは、この証の特徴です。便秘と下痢を繰り返す、ため息が多い、などの症状を伴う場合もあります。

この証の人に対しては、肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにしていく漢方薬で生理不順を治していきます。服用を始めて5カ月目くらいから生理が安定して来るようになりました。その後もしばらく服用し続け、いらいらや生理前の不調も軽くなりました。

■症例5「生理周期が短く、20日そこそこで来てしまいます。経血量が多くて疲れやすく、貧血気味です」

生理の間隔が短く、生理が終わってしばらくしたら、すぐ次の生理が来ます。経血は鮮血ではなく淡紅色です。生理痛はさほど重くありませんが、量が多いので疲れます。舌は白っぽい色をしています。

この人の証は「気虚(ききょ)」です。生命エネルギーを意味する「気」が不足している体質です。気の機能の一つに、血など人体に必要なものが体外に漏れ出ないようにコントロールする働き(固摂作用)がありますが、気虚になるとこの力が弱まり、出血しやすくなります(気不統血)。このため生理周期が早まります。

過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、この証になります。もともと虚弱体質の場合もあります。食欲不振、息切れしやすいなどの症状がみられることもあります。

この体質の場合は、気を補う漢方薬で生理不順を治療します。服用を始めて少しずつ、生理周期、経血の量、色が改善され、8カ月目から生理が28日周期で安定して来るようになりました。疲れにくくもなりました。

■症例6「生理が遅れて来ます。半年近く生理が来ないこともありました」

たまに生理が来ても量が少なく、経血は鮮血ではなく淡紅色です。血の固まりはありません。舌は白っぽい色をしています。最後に生理が来たのは3カ月前でした。

この人の証は「血虚(けっきょ)」です。人体に必要な血液や栄養が不足している体質です。

偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などにより、この証になります。血が不足しているため、生理周期が遅れます。

生理の量が少ない、経血が淡紅色、白っぽい舌などが、この証の特徴です。髪の艶がない、爪が割れやすい、目が疲れるなどの症状を伴う場合もあります。

この場合は、漢方薬で血を補い、生理周期を調えます。この女性は漢方薬を服用し、2週間後に久しぶりに生理が来ました。その後も稀発月経が続きましたが、徐々に生理が安定し、1年後には生理が毎月来るようになりました。

■症例7「半年前に家族が病気で入院して以来、生理が止まってしまいました」

家族が入院してから体調が優れず、寝付きが悪く、また眠りが浅くなりました。不安で動悸がしたり、いらいらしたり落ち込んだりすることが増えました。頭痛、肩凝りがひどくなりました。舌は赤紫色をしており、舌の裏側の静脈が紫色に浮き出て見えています。

この人の証は、「気滞血瘀(きたいけつお)」証です。ストレスの影響で生理が止まっています。強いストレスが、身体の諸機能を調節(疏泄[そせつ])する臓腑である五臓の肝(かん)の機能(肝気)を阻害して肝鬱気滞になり、さらに血流も鬱滞して血瘀にもなり、合わせてこの証になっています。

ホルモンバランスが乱れ、血行が悪くなるために経血量が減り、無月経になります。

情緒不安定、いらいら、不眠、頭痛、肩凝り、赤紫色の舌、舌下静脈の怒張などは、この証の特徴です。ため息が多い、冷えのぼせ、残便感などの症状を伴う場合もあります。

この証の人に対しては、気血の流れを改善する漢方薬で、無月経を治療します。この女性の場合は、服用を始めた翌月、久しぶりに生理が来ました。その後しばらくは遅れ気味でしたが、半年後からは毎月安定して来るようになりました。

■症例8「小さい頃から虚弱な方で、初潮も遅めでした。その後もずっと生理不順で、年に数回しか生理が来ません」

疲れやすく、冷え症です。下半身がむくみます。舌は白っぽく、湿った舌苔が付着しています。

この人の証は「腎虚(じんきょ)」です。腎は五臓の1つで、生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖、ならびに水液や骨をつかさどる臓腑です。また「腎は血を生ず」といい、血を生み出す臓腑の1つでもあります。この腎気が衰えることにより、この証となり、無月経になっています。

虚弱体質だけでなく、生活の不摂生、過労、慢性病による体力低下、加齢などによっても、この証になります。足腰がだるい、頻尿、耳鳴りなどの症状がみられることもあります。

この体質の場合は、漢方薬で腎の機能を補い、ホルモンバランスを調えて、無月経を改善します。この女性は漢方薬を服用し続け、1年後には30〜35日くらいの周期で生理が来るようにまでなりました。

■症例9「ダイエットを繰り返しているうちに生理が来なくなりました。それ以来ずっと婦人科で処方されるピルで生理を来させてきましたが、結婚して妊娠に向けてピルをやめたところ、また生理が来なくなりました」

疲れやすく、元気がありません。食欲があまりありません。目も疲れやすく、かすみがちです。ときどき頭がふらつきます。白っぽい色の舌をしています。

この人の証は「気血両虚(きけつりょうきょ)」です。生命エネルギーを意味する「気」が不足している気虚と、人体に必要な血液や栄養を意味する「血」が不足している血虚が、同時に生じている証です。

無理なダイエットをはじめとする無神経な食生活、過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気血を消耗すると、この証になります。血が不足しているため、無月経になります。

疲労倦怠感、元気がない、食欲不振、目の疲れやかすみ、ふらつき、白い色の舌などは、この証の特徴です。髪の艶がない、爪が割れやすい、軟便などの症状を伴う場合もあります。

この場合は、漢方薬で気と血の両方を補い、無月経の治療を進めます。この女性は漢方薬を服用し、1年後には生理が毎月来るようになり、その翌年、自然妊娠しました。


生理不順に効果的な漢方薬

生理不順には、その人の体質により、さまざまな漢方薬が使われます。おもな漢方薬は以下のとおりです。

四逆散、加味逍遙散、六味地黄丸、八味地黄丸、補中益気湯、帰脾湯、温清飲、三物黄芩湯、四物湯、十全大補湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、芎帰調血飲、十全大補湯、人参養栄湯、二陳湯、平胃散


あなたに合った漢方薬ですと、飲み続けるうちに体質が改善され、次第にホルモンバランスが整い、安定した自然な生理が来るようになります。生理が不安定な体質そのものを漢方薬で改善してみてはいかがでしょうか。

あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。どうぞお気軽にご連絡ください。→当薬局について

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以上の症例は「日経DIオンライン」に幸井俊高が執筆した以下の記事にも掲載しています。
生理不順(量の異常)の考え方と漢方処方
過少月経への漢方処方
生理不順(周期の異常)の考え方と漢方処方
頻発月経、稀発月経、無月経への漢方処方
無月経の考え方と漢方処方
長引く無月経への漢方処方

自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

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