怒りっぽい+生理不順→漢方で気持ちが楽に
幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局 の症例をもとにした漢方ストーリー
以下は、生理不順を治そうと漢方にトライする女性の物語です。
漢方を始めてまず変わったのは、怒りっぽいイライラした気持ちが消え、心にゆとりができたことです。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)
■■怒りっぽいのは損■■
さっきから、あまりにも不愉快。
新しい料理が運ばれてくるたびに、携帯電話でその写真を撮っている。
そのたびに、カシャッ、カシャッ、と安っぽい効果音が鳴る。
本人は、何とも思っていない様子だ。それがますます、わたしをいらいらさせる。できたての熱々の料理が目の前に出されても、その盛りつけや色合いを愛でたり、香りや味を楽しんだりせずに、当たり前のような顔で料理に向けて携帯電話をかざし、まず写真を撮る。そのたびにカシャッという電子音が店内に響く。あの男の人、何を考えているのだろう。ブログにでも載せるつもりなのかしら。
お店の人たちも、ことばには出さないけれど、そのカシャッという音が耳に入っているようで、少し気にしている様子だ。でも、よくあることなのか、それほどいやそうな態度はとっていない。この無神経な男性も、店の客の一人、というわけだろうか。わたしのように不愉快に思っている人も、客の一人なのに。そんなことを考えていると、別の方向からも、カシャッという音がした。腹が立って大げさに振り向くと、そちらは若い女の子のグループだった。おいしそー、なんて言いながら、携帯電話で写真を撮っている。本当にいらいらする。
わたしは、ボーイフレンドの弘志とこの店に来ている。わたしがお鮨が大好きなので、最近よく雑誌で紹介される有名なこの鮨屋に連れて来てくれたのだ。
この鮨屋は、ふつうの鮨屋と違い、にぎりやお刺身以外にも、さまざまな一品料理を次々と出してくる。それが色鮮やかで味もいい、というので有名になったようだ。
魚の産地にもこだわっており、きょうの鮪はどこそこ産です、などと言いながら、にぎり鮨を出してくる。
たしかに料理はおいしいと思う。でも、落ち着かない。せっかくの料理をまずくさせる要因が多い。
携帯電話のシャッター音に敏感に反応して怒っているわたしは、無口になっていた。弘志がちょっと気にしてくれて、言った。
「智美ちゃん、ここのお鮨、どう?」
「あ、おいしいわよ、もちろん」
安月給なのに無理してわたしをこんな高級店に連れてきてくれた弘志の気持ちを考えると、こう答えるしかない。
「よかった。でも、有名すぎるのも、あまりよくないかもね」
お、弘志も同じことを考えているのかも。
食事の最後には、豪華な味噌汁が出てきた。大きな海老の頭が椀からはみ出している。
「デザートはどうしますか。抹茶のアイスクリームかメロンがありますが」
店の人にそう聞かれた。弘志は、
「あ、もういいです」
と答えてお勘定をお願いした。
店を出るころには、なんだか疲れていた。たしかに料理はおいしかったけど、たぶん二度とこの店には来ないだろうな、と思った。
「ごめんね、弘志。わたし、ぶすっとしてた? 最近ちょっと怒りっぽくて。怒りっぽいのって、損よね」
「ああ、携帯のシャッター音ね。まあ、有名店だからしょうがないよ」
怒りっぽいのは、最近仕事が忙しく、会社でもプライベートでも、なにかと自分の思いどおりに事が運ばなくなったせいかもしれない。でも、会社の仲間や、こうやってボーイフレンドの弘志に支えられて、なんとかなっている。
それよりも、わたしの悩みは生理不順だ。半年くらい前から急に忙しくなり、怒りっぽくなったばかりか、生理まで不順になり、遅れるようになった。
弘志と鮨屋に言った数日後、久しぶりに会った親友の亜矢が漢方を薦めてくれた。亜矢は毛穴の開きなど、肌の悩みを漢方で改善していた。
「そういう精神的なことと体調って、おおいに関係あるわよ。その辺り、漢方が得意なはずだから、智美も漢方薬局に行ってみたら?」
■■気の流れの乱れから生理不順に■■
さっそく漢方薬局に行った。漢方には以前から少し興味があった。
初回のカウンセリングで漢方の先生にいろいろ話をしたあと、先生がおっしゃった。
「生理不順には、仕事でお疲れなことも関係していますが、いらいらしたり怒りっぽかったりするのも大敵ですよ」
やっぱりそうか。亜矢が言っていたとおりだわ。
「でも、いろんなことが自分の思いどおりにいかないと、つい怒りっぽくなってしまって」
「それはよくわかります。怒りなどの感情は、とても自然なことです。怒りを無理に抑えて感情を殺せと言っているのではありません」
「では、どうすればいいのですか?」
「ひとつは意識の改善です。今回の場合ですと、自分の思いどおりにいかない相手を変えようとするのではなく、まずその相手の存在を認めることです」
「現状を肯定する、ということですか?」
「そうです。現状を甘受することです。今の自分の状態を認めて、さらに相手の立場を認めて、そこから始めればいいのですよ。気持ちも楽なはずです」
なるほど。先生のおっしゃるとおりかも。
「でも先生、それって漢方と関係あるんですか?」
「漢方思考です。自分を大切にして、周りとの関係のなかで、より良い状態へと改善していく、という考え方です」
「先生のおっしゃる“漢方的スローライフ”ですね」
「そうです。生理不順も同じですよ。まず生理不順になっている現状を認め、そこまで体調を崩した自分をいたわるところから始まります。現在の状態が異常だとか、変だとか、そういうふうにとらえると、つらいばかりでしょ?」
なんだか話をしているだけで、気が楽になってきた。
「漢方薬は、“気”の流れを調える働きが強いものがいいでしょう(漢方道の必殺技③)。そうすれば感情の変化があっても、それが大きく体調の悪化につながることは減ってきますから」
■■他人を認める漢方的スローライフ■■
漢方薬と漢方的スローライフの実践のおかげで、ずいぶん気が楽になった。いらいらしたり怒りっぽくなったりすることも、めっきり減った。
先日、弘志と近所の鮨屋に行った。商店街に面したショーウィンドウに招き猫が飾られているようなふつうの店だ。内装もとくに凝ったものではなく、照明も明るい。店の隅にはテレビも置いてあり、庶民的だ。
でも店内は魚臭いにおいがまったくせず、ふんわりとお酢が香っている。暖簾の隙間から奥の洗い場をみれば、真っ白に洗われた布巾が几帳面に角をそろえて干されている。
磨き込まれたカウンターの向こうのご主人は始終にこやかに鮨をにぎってくれる。一個一個は少し大きめで洗練された感じはしないし、この魚はどこそこ産の天然もの、なんて話も出てこない。でも、とってもおいしい。ぱくぱく食べていても、のんびりと時間が進む。
別のお客さんが店のご主人に聞いている。
「この鮪、おいしいね。大間かどっかの鮪?」
「いや、これは佐渡の鮪。大間でとれた鮪ったって、おいしくない鮪もたくさんあるんだから。あんまり関係ないよ、産地なんて」
日本酒をうれしそうに飲みながら、弘志が言った。
「ほっとするね、こういうお店って」
「そうね。携帯で写真を撮る人もいないしね」
「お客さんもみなさん、食事や会話を楽しんでいるって感じだね」
わたしも幸せな気分だった。流行を追う店もあるし、こうやって落ち着いてきちんと仕事をする店もある。そしてそれぞれ求める人が客としてやって来て、そこにいる時間を楽しめばいいのかも、と思った。
「流行の先端をいく店に行って、携帯で写真を撮ることに不快感を持ったわたしたちが場違いだったのかもね」
「店にしても人にしても、相手の立場や意見を否定せず、まずそれらを認めないとね。大事なのは、そこから自分はどうしていくか、ということかな」
お、弘志、漢方の先生と同じようなことを言っている。かっこいい。この人とずっと一緒に“漢方的スローライフ”を楽しんでいこうかしら。
この店は最後に豪華な味噌汁も出なかった。おいしいお鮨のさわやかな香りを口に残して、すばらしい鮨屋を出た。
(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)
***
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