頻発月経・稀発月経・周期不安定・無月経(周期の異常)

◆周期にかかわる生理不順・月経異常

当薬局では、頻発月経・稀発月経・周期不安定・無月経など、生理周期の異常・不安定に関する漢方治療のご相談をお受けしています。

漢方で生理不順が治った症例は こちら

(このページでは、月経の「周期」の異常にかかわる月経不順の漢方治療について解説します。生理の量の異常にかかわる生理不順はこちらをご参照ください → 過多月経・過少月経)

一般に女性の月経周期は25日から38日が生理的範囲とされ、月経持続日数は3日から7日が正常範囲と考えられています。

この範囲を大きく超えて生理が遅れる、早まる、周期が安定しないなど、月経周期にかかわる異常には次のようなものがあります。

1  頻発月経  生理周期が早まりやすい
2  稀発月経  生理周期が遅れやすい
3  周期不安定  早まったり遅れたりする
4  無月経  3か月以上生理が来ない(稀発月経の極端なもの)

 

◆漢方薬で、自力で自然な月経が安定して来るようにする


西洋医学では

ピルなどのホルモン療法で生理周期を整えます。ただし、ピルなどで人工的に周期を整えても、生理不順が治っているわけではありません。

根本的な原因を改善しない限り、ピルをやめると生理不順に戻ることも多いのが実情です。

漢方では

漢方では、体内に不調があり、その結果として生理不順が表れていると考えます。体調が万全ならば生理は安定しています。

漢方では、漢方薬で患者の「生理不順体質」を改善し、自力で自然な生理が来ることを狙った治療を行います。

漢方では以下に関する何らかの問題が生理不順を引き起こしている考えます。

(けつ)」 人体を流れる構成成分の一つで、血液や栄養のこと。血の状態が異常になると、生理周期が乱れる。
(き) 血の流れを推動する生命エネルギー。気の失調も生理周期の乱れの原因となる。
(かん)」 体の諸機能を調節するとともに血を貯蔵し循環させる臓腑。
(じん)」 人の成長・発育・生殖をつかさどるとともに、血の生成源である精(せい)を貯蔵する臓腑。


◆周期が乱れる生理不順のタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

 頻発月経 に多い証

(1)「気虚(ききょ)」証

生命エネルギーを意味する「気」が不足している体質。

虚弱体質のほか、過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、この証になります。

気の機能の一つに、血など人体に必要なものが体外に漏れ出ないようにコントロールする働きがありますが、気虚になるとこの力が弱まり、出血しやすくなります。このため生理周期が早まります。

気虚で出やすい症状
食欲不振、息切れしやすい など

生理の量が多い過多月経になることもあります。

→ 気を補う漢方薬を用います。

 頻発月経 に多い証

(2)「血熱(けつねつ)」証

熱邪が血に侵入した証。

味が濃く脂肪分が多い食生活、精神的なストレス、長期の体調不良などによって体内に余分な熱が発生し、熱邪となります。

熱邪の影響で出血が促され、生理が早く起こります。

血熱で出やすい症状
血塊、深紅色で粘稠な経血、ほてり、顔面紅潮、黄色い尿、目の充血、いらいら、怒りっぽい、赤い舌、黄色い舌苔 など

生理の量が多い過多月経になることもあります。

→ 血熱を冷まして生理を安定させる漢方薬を用います。

 稀発月経 に多い証

(3)「血寒(けっかん)」証

血熱証とは逆に、冷えや慢性疾患により生じた寒邪が血に侵入している証。

寒冷により血の流れが停滞するため、生理が遅れます。

→ 体を温めて血行を促す漢方薬を用います。

 稀発月経 に多い証

(4)「血虚(けっきょ)」証

人体に必要な血液や栄養が不足している体質。

偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などによってこの証になります。

血が不足しているため、生理周期が遅れます。

血虚で出やすい症状
生理の量が少ない、経血が淡紅色、頭がぼーっとする、眠りが浅い、髪の艶がない、爪が割れやすい、目が疲れる、舌が白っぽい など

生理の量が少ない過少月経になることもあります。

→ 血を補い、生理周期を調える漢方薬を用います。

 周期不安定 に多い証

(5)「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証

体の諸機能を調節する臓腑である五臓の肝の気(肝気)の流れが滞っている体質。

ストレスや緊張が持続すると、この証になります。

肝気の流れの悪化の影響がホルモンバランスの失調に及び、生理不順が生じます。

肝鬱気滞で出やすい症状
生理周期や経血量が不安定、経血中の血の固まり、生理前のいらいらや乳房の張り、紅色の舌、黄色く薄い舌苔、便秘と下痢を繰り返す、ため息が多い など

→ 肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにする漢方薬を用います。

 周期不安定  無月経 に多い証

(6)「腎虚(じんきょ)」証

腎の機能が低下した状態。

血の生成源である精が少ないために血が不足し、生理周期が不安定になります。

虚弱体質、生活の不摂生、ホルモン薬などの長期服用、過労、慢性疾患による体力低下、加齢などにより、この証になります。

腎虚で出やすい症状
生理時の腰痛、めまい、耳鳴り、頻尿、足腰のだるさ など

生理の量が少ない過少月経になることもあります。

→ 腎の機能を補い、ホルモンバランスを調える漢方薬を用います。

 無月経 に多い証

(7)「気血両虚(きけつりょうきょ)」証

血そのものや気の量が不足している証。(1)の気虚と(4)の血虚が同時に起きた状態。

過度のダイエットや拒食症が原因のことも多い。

気血両虚で出やすい症状
疲労倦怠感、元気がない、食欲不振、目の疲れやかすみ、ふらつき、髪の艶がない、爪が割れやすい、軟便、白い色の舌 など

→ 気と血の両方を補う漢方薬を用います。

 

 無月経 に多い証

(8)「陰虚火旺(いんきょかおう)」証

陰液(人体の構成成分のうち、血・津液(しんえき)・精)が不足した証。

体を潤す成分が不足しているため相対的に熱邪が旺盛になって機能が亢進し、めまい、動悸、怒りっぽい、などの熱証が現れます。特に午後から夕方、夜間にかけて熱感が生じます。

慢性的な体調不良や過労、生活の不摂生、緊張の連続、老化などにより、この証になります。

→ 陰液を潤し、熱証を冷ます漢方薬を用います。

 

 無月経 に多い証

(9)「気滞血瘀(きたいけつお)」証

(5)の肝鬱気滞に加え、気の流れの停滞の影響で血流も鬱滞した状態。

血行が悪くなるために経血量が減り、無月経になります。

気滞血瘀で出やすい症状
情緒不安定、いらいら、不眠、頭痛、肩凝り、赤紫色の舌、舌下静脈の怒張、ため息が多い、冷えのぼせ、残便感 など

→ 肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、さらに血行を促進し、鬱血を取り除く漢方薬を用います。

 

 無月経 に多い証

(10)「痰湿(たんしつ)」証

体内に過剰な水分や湿気がたまった体質。

食べ過ぎ、食事の不摂生、過度の飲酒などにより、この証になります。

痰湿が血の流れを阻害するため、経血量が少なくなり、無月経になります。

痰湿で出やすい症状
経血が淡紅色で粘稠、肥満傾向、帯下が多い、べっとりとした白い舌苔、腹部膨満感、吐き気、口が粘る など

生理の量が少ない過少月経になることもあります。

→ 痰湿を取り除く漢方薬を用います。


こんなケースも
その他、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)により無月経になるケースもあります。

◆生理不順に効果的な漢方薬


比較的よく使われる処方を挙げておきます。

四逆散、加味逍遙散、六味地黄丸、八味地黄丸、補中益気湯、帰脾湯、温清飲、三物黄芩湯、四物湯、十全大補湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、芎帰調血飲、十全大補湯、人参養栄湯、二陳湯、平胃散

上述したように、生理不順にはいろいろな体質的背景があり個人差が大きいので、ベストの処方に出会うためには、専門家に相談し、正しく証を診断してもらうのが近道です。

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。
どうぞお気軽にご連絡をください。→当薬局について

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

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