生理不順に桂枝茯苓丸が効かない?!
幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局 の症例をもとにした漢方ストーリー
以下は、生理不順の悩みを解決したOLの物語です。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)
■■人に薦められた漢方が効かない■■
旅行代理店の窓口業務はおもしろい。なんといっても日本じゅう、世界じゅうの旅の最新情報を知ることができる。学生時代に地理が苦手だったわたしが言うのも気恥ずかしいが、この地球上にはさまざまな地域があり、それぞれに特徴がある。そしてそれらがつながり合って社会ができている。旅をすると、それまで知らなかったことをたくさん学ぶことができるし、なんといっても人とのふれあいが楽しい。
今の仕事の楽しさは、それだけではない。窓口での接客がまた楽しい。ご旅行の計画をお客さまと一緒に立てるときなど、うきうきしてしまう。実際にはのんびり旅する余裕はないが、まるで自分が旅に出かけるような気分になれる。計画が決まってホテルや旅館の予約も済ましたあとのお客さまが見せてくださる笑顔も、うれしいものだ。
でも最近は、世の中の不景気などの影響で、わたしが勤めている営業所の成績があまりよくない。今はグループリーダーとして新人など3人をまとめる立場にあるが、営業実績を伸ばすことは、なかなか難しいものだと実感している。
新人たちには、まず大事なことは"正確な情報"だと教えている。お客さまがせっかく訪れた名所旧跡が工事中だったとか、お目当ての仏像が東京での展覧会に出展中で不在だったとか、そんなことになるとお客さまはがっかりなさる。桜の名所を訪れたが見頃の満開は一週間前でした、などと、いい加減なことはできない。
最近は旅行代理店の窓口だけでなく、インターネットで情報を探す人も多い。いい加減な仕事をしていると、すぐに掲示板やブログの書き込みで批判される。そうなると、うちの営業所の評判にも響く。ネットの影響力は大きい。
旅行プランを決める際、旅行代金や、ホテルのウエルカムドリンクサービスなどの付加価値も大切だが、やはりオンタイムで正確な情報が、この仕事の生命線だと思う。
仕事自身はこのように楽しく、やりがいも感じている。しかし体調がいまいちで、とくにグループリーダーになってからは生理不順が続いている。
生理不順には漢方がいい、と知人に桂枝茯苓丸という薬を薦められて、市販の錠剤を飲んだことがある。その人はその漢方で生理不順が治ったとのことだったので、がんばって3か月くらい続けて飲んでみた。しかし、わたしには効果はなかった。
先日、友人の加奈子と飲みにいったときに漢方の話になった。加奈子は漢方で耳鳴りを治したとのこと。
「よかったわね、加奈子。でも、わたしも漢方を飲んだけど、わたしには効かなかったわ」
「利香は、どうやって漢方を飲んだの?」
「知っている人に薦められた漢方薬を飲んでみたんだけど。その人はその漢方で生理不順が治ったらしいんだけど、わたしには効かなかったの」
「ちゃんと漢方薬局でカウンセリングを受けなかったの?」
「カウンセリング? 受けなかったわ」
「それじゃあ、だめよ。ちゃんとカウンセリングを受けなきゃ」
加奈子によると、漢方薬はひとりひとりの体質によって処方が異なるらしい。同じ病気でも人によって飲む漢方は違うそうだ。だから同じ生理不順でも、あの人に効いた薬がわたしには効かなかったわけだ。
さっそく加奈子が通っていた漢方薬局に行くことにした。
■■漢方はひとりひとりに合わせて調合■■
漢方薬局では先生がわたしの体調について詳しく聞いてくださった。結局30分以上かけてカウンセリングをしていただいた。わたしの場合は生理の量が少ないのが特徴で、生理痛は重い感じで、周期が遅れやすい。生理が重いときは下腹や腰を温めると楽になる。
「先生、じつは桂枝茯苓丸で生理不順を治したという人がいて、わたしも同じものを飲んだのですが効きませんでした」
「利香さんには、桂枝茯苓丸は効かないでしょうね。桂枝茯苓丸は血行が渋滞しているのが根本原因の場合に使う漢方です。利香さんの場合は、冷えが根本原因です」
「どうしてわかるのですか?」
「たとえば血行が渋滞すると刺されるような生理痛になりますし、お腹を温めても楽になりません」
なるほど、そういうことをひとりひとりから引き出すためにカウンセリングが必要なわけね。
「生理不順なら、どなたに対しても同じ処方、というものではありません。人体は機械ではありませんから、しっかりとコミュニケーションをとり、患者さんの立場にたってオーダーメイドで処方を考えることが大事です。だから丁寧なカウンセリングが必要なのです」
さっそく、からだ全体の機能を調えて(漢方道の必殺技④)冷え症体質を改善し、生理不順を根本的に治していく漢方薬を服用することになった。もちろんそれは桂枝茯苓丸ではなかった。
■■正確さよりも大切なこと■■
今回の漢方薬は煎じ薬で、以前の錠剤と比べてちょっと面倒だったけど、さすがにオーダーメイドで調合してもらっただけのことはあり、効果がじわじわと現れた。生理の量は元のように増え、色もきれいになり、からだの内側からきれいに改善されてきているのが実感できた。周期も安定してきた。
仕事のほうでも変化があり、春の人事異動で新しい所長が本社から来た。仕事ができると評判の女性だったので相当こわい人かと思っていたが、とても優しく、笑顔の素敵な女性だった。行動力もあり、着任早々、時間をみつけては窓口業務もなさった。
ある日のこと、わたしが接客した方が兵庫の菖蒲園に花菖蒲を観に行きたいとおっしゃった。しかし花期が過ぎていたので、わたしはこう言った。
「申し訳ありません。時期が遅すぎるようです。もう少し北に行かないと花菖蒲は見られませんね」
するとお客さまは、
「あら残念だわ。まだ咲いているかと思っていたのに」
と意気消沈して席を立とうとされた。するとそこに所長が笑顔でやってきてお客さまに話しかけた。
「この季節、花菖蒲がきれいですよね」
「そうなの。ちょっと神戸まで行くので、むかし観てきれいだった花菖蒲をもう一度観ようと思ったのですけどね」
「残念ながらその菖蒲園の花菖蒲は時期が過ぎてしまいましたが、電車で15分ほど北に行くと花菖蒲で有名なお寺がありまして、そちらですと今ちょうど見ごろですよ」
それを聞いたお客さまの表情が、ぱっと明るくなった。
「あら、それはいいことを聞いたわ。ではそちらに行こうかしら」
一旦腰を浮かせたお客さまは、もう一度椅子に座り直し、そのあとは所長が対応した。
お客さまが帰られたあと、所長に謝った。
「所長、申し訳ありませんでした。でも助かりました」
「まず大切なのは、正確な情報。この仕事の基本よね。でも、それだけじゃだめ。ネットで調べるのと変わらないわ」
目的地の花期は終わっているが北のほうではちょうど見ごろ、という同じ情報でも伝え方によってお客さまの反応は全然ちがうものになるのですね」
「正確さよりも大切なのは、お客さまとのコミュニケーションよ。お客さまの立場にたって、お客さまに一番よろこんでいただけるかたちで情報を提供するのよ。同じ内容の情報でも、伝え方ひとつで変わるわ」
なるほど、大事なのは、お客さまの立場にたって考えることね。ひとつ大きな勉強をした。
それにしても、所長の言うことって、漢方の先生がおっしゃったことと同じだわ。患者さんやお客さまの立場にたって考えるのが、相手によろこんでいただける秘訣のようね。
よし、これからは一方通行で情報を提供するだけでなく、しっかりとコミュニケーションをとり、お客さまの立場にたって接客をしていこう。そうすれば、より多くの方々によろこんでいただけるし、営業成績も上がっていくわ。
失敗をして所長に助けてもらったけど、おかげでますます仕事が楽しくなりそうな、うれしい気分になった。
(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)
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