肩こりの症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で肩こりが治った症例
こちらは症例紹介ページです。肩こりの解説ページは こちら へどうぞ
■症例1「社会人になってから肩こりがひどく、首から肩、背中にかけて硬くなっています。マッサージや鍼で楽になりますが、しばらくすると、またこってきます」
会社での仕事はデスクワークで、1日中ずっと座ってパソコンに向かって作業をしています。いらいらしやすいほうで、ため息がよく出ます。便通がすっきりせず、切れ切れの細い便が出たり、便秘をしておなかが張ったり、逆に下痢をしたりします。会社に入るまでは、肩こりはありませんでした。舌をみると、赤い色をしています。
この人の証は「気滞」です。体内での気の流れがよくない体質です。精神的なストレスや緊張が原因で、なりやすい証です。気滞になると、いらいら、ため息、上記のような便通の不調が生じます。女性だと、生理痛や生理不順、PMS(月経前症候群)もみられます。この証の場合、筋肉が緊張しやすく、そのために肩こりが生じます。
この証には、気の流れを伸びやかにする漢方薬を使います。この人の場合は、肝気の鬱結を解きほぐし、同時に胃腸の不調も改善する漢方薬を服用して3カ月ほどで肩こりが解消されました。便の状態もよくなりました。
■症例2「慢性的な肩こりで、両肩が硬くパンパンに張っています。マッサージをしてもらっても、かえって痛いだけなので最近は行っていません」
40歳の主婦です。肩こりには、高校生の頃から悩まされています。ひどいときは頭痛がします。生理痛も強く、これも高校生の頃からです。ほかには、足の冷えがあります。舌をみると、暗紫色の斑点があります。
この女性の証は「血瘀(けつお)」です。血流が鬱滞しやすい体質です。肩のまわりでうっ血が生じて肩こりが起こり、下腹部ではうっ血による生理痛が生じています。うっ血しているので、肩をもんでもらっても、かえって痛むのが特徴です。
この体質の場合は、血行を促進し、うっ血を取り除く漢方薬が有効です。1年近く服用しましたが、長年の頑固な肩こりから解放されました。生理痛も軽くなりました。
■症例3「いつも肩こりを感じています。肩は張っているのに、頭はぼーっとします」
肩に触れると、硬く筋張った感じがします。目が疲れやすく、乾燥します。髪が細くなり、爪がもろくなってきました。生理の量も減ってきました。舌は白っぽい赤色です。
この女性の証は「血虚」です。血液や栄養を意味する血(けつ)が不足している体質です。栄養不足のために髪や爪の質が弱くなり、生理の量も少なくなっています。肩においても栄養失調の状態になっています。肩の筋肉に十分な栄養や潤いが行き渡らないため、肩こりが慢性化しています。筋張った感じが特徴です。しびれを伴う場合もあります。
この場合は、漢方薬で血を補い、肩こりを緩和していきます。半年ほど服用し、肩こり体質を改善することができました。顔のくすみがとれ、肌つやがよくなった、と喜ばれました。
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肩こりに効果的な漢方処方
四逆散、大柴胡湯、加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、四物湯、四君子湯、六味地黄丸、葛根湯 など
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。
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