寝汗の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で寝汗が改善した症例
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■症例1「最近、寝汗をかくようになりました。眠りが浅いのか、よく夢をみます」
もともと冷え症ですが、寝汗をかくタイプではありませんでした。ここのところ、両親の健康問題やご近所とのトラブル、子どもの学校問題など、悩ましい問題が次々と起こって心労が絶えず、同じ頃から寝汗をかくようになりました。
嫌な夢をみて、はっと目を覚ますと、全身汗をびっしょりかいているということもありました。急に動悸がすることも増えました。舌をみると、白っぽい色をしています。
この人の証は「心血虚(しんけっきょ)」です。心は五臓のひとつで、血液循環だけでなく、思考・思惟活動をもつかさどる臓腑です。
したがって過度の心労が重なったりすると、この心に負担がかかり、心血が消耗し、不足してこの証になります。その結果、衛気が衰え、寝汗をかくことになります。眠りが浅い、夢をよくみる、動悸、舌の色が白っぽい、などはこの証の特徴です。中医学では「汗は心液である」といい、心の病変があると発汗が多くなります。
この証の人に対しては、心血を潤して心気を立て直す漢方薬を使います。
この人は心血を滋養して脾気を補う漢方薬を服用し、2ヵ月後には寝汗をかかなくなりました。嫌な夢を見る回数も減り、眠りが深くなったとのことです。
■症例2「わりと汗っかきで日中も汗をかくほうですが、とくに寝汗をよくかきます」
疲れやすく、昔から元気なほうではありません。かぜをひきやすく、一年に何回もかぜをひきます。しかも、一旦かぜをひくと治りにくく、長引かせてしまいます。舌は白っぽい色をしています。
この人の証は「肺衛不固(はいえふこ)」です。肺は五臓のひとつで、呼吸などのほか、体表の機能をつかさどる臓腑です。汗の分泌の調整もします。
肺の機能が弱いと衛気(えき)が不足し、必要以上に汗が出ます。衛気が衰える夜間にさらに発汗が過剰になり、寝汗となります。日中も、しっとりと汗をかきやすいのが、この体質です。「表衛不固(ひょうえふこ)」証ともいいます。
この体質の場合は、肺気を補う漢方薬で衛気を強め、寝汗を改善していきます。この人は漢方薬を服用して少しずつ体力がつき、1年後にはすっかり元気になり、寝汗をかかなくなりました。
■症例3「体に熱感があり、寝汗をよくかきます。夜は布団から手足を出して寝ています」
高血圧や糖尿病の持病があり、長年にわたって病院の薬でコントロールしていました。体がほてる感じは、午前中よりも夕方以降の方が強く感じます。見ると顔、とくに頬のあたりが赤く、舌も赤い色をしています。舌苔はほとんどついていません。
この人の証は「陰虚火旺(いんきょかおう)」です。慢性的な体調不良により陰液が消耗すると、相対的に熱邪が旺盛になり、この証になります。
陰液とは、人体の構成成分のうち血(けつ)・津液(しんえき)・精を指します。慢性的な体調不良だけでなく、過労や生活の不摂生でもこの証になります。
陰液の不足により強まった内熱は、衛気が弱くなる夜間にさらに勢いを増し、津液を寝汗として体外に放出します。「陰虚内熱(いんきょないねつ)」証ともいいます。体の熱感、手足のほてり、頬の紅潮、赤い舌、少ない舌苔などは、この証の特徴です。
この証の人に対しては、陰液を補う漢方薬を使います。この人の場合は、漢方薬を服用し、6カ月ほどで寝汗をかかなくなりました。体の熱感もとれ、血圧も下がり、喜ばれました。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。
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