汗と体臭(多汗症、加齢臭など)

漢方薬はからだの内側で根本原因に働きかけ、汗・体臭の体質を変える

皮膚には毛穴と汗孔とがあいています。汗はおもに汗孔の奥にあるエクリン汗腺でつくられ、体表に出てきます。エクリン汗腺からの汗は気温が暑いときや運動時に出てきて、その気化熱で体温を下げる働きをしています。

汗が出なければ真夏の直射日光のもとでは体温がすぐ40度を超え、生命の危険が生じますから、正常な発汗は健康のあかしです。

また、思春期になると腋窩(わきの下)や陰部などでアポクリン汗腺が発育してきす。アポクリン汗腺は、エクリン汗腺のように直接皮膚の表面ではなく、毛穴の奥のほうに開いています。アポクリン汗腺から出る汗は、量は少ないのですが、たんぱく質の含有量が多いために独特のにおいがします。

多汗・体臭が漢方で治った症例ページは こちら

◆必要以上の不快な汗・・・季節を問わず漢方で原因から改善


運動、入浴、高温多湿時の正常な発汗ではなく、
汗の分泌が異常に亢進した状を多汗症といいます。全身的な多汗は、肥満糖尿病、発熱性疾患、甲状腺機能亢進症自律神経失調症更年期障害、若年性更年期障害男性更年期障害(LOH症候群)、パニック障害などにみられます。

また精神的な緊張や感動により、手のひらや足のうら、顔面、腋窩、陰部などに局所的に発汗する場合もあります。→過緊張

多汗症ほどでなくとも、ちょっとした体調の不調や精神的なストレスで汗をたくさんかくこともよくあります。→疲労倦怠

必要以上にだらだらと流れる汗は不快なもので、実際に汗の悩みで漢方薬を服用する人は四季を通じて多いというのが現状です。

◆体臭も、汗が原因なら多汗症対策で克服


汗のにおいが強い場合は臭汗症といわれ、アポクリン汗によるものと、エクリン汗によるものとがあります。

アポクリン汗腺は上述のように思春期以降に腋窩や陰部などで発育し、独特のにおいを発します。特にそれが顕著なものを腋臭症(わきが)とよびます。

皮膚表面に常在する細菌によりアポクリン汗が分解されて生じた脂肪酸などがにおいの主因といわれています。

エクリン汗臭は多汗や不潔で起こり、やはり汗の分解物質やアンモニアのにおいです。また足の多汗症がある場合も靴の中で足が蒸れ、皮表の細菌が汗を分解して強いにおいを生じます。

漢方では、中医学の視点からいろいろなタイプの体臭の原因を見極めてそれぞれに応じた対処をします。次項以下に具体的に説明します。


◆西洋医学では病気とみなされない多汗・体臭・・・漢方なら治療法があります

多汗・体臭は西洋医学では、一般に治療の対象となりませんが、形成外科などでは皮下組織削除、超音波破砕吸引などの方法により、アポクリン汗腺やエクリン汗腺、皮脂腺そのものを除去する手術などが行われています。

一方、中医学(漢方)では、漢方薬を服用することにより内臓の機能や心身のバランス、またホルモンのバランスや自律神経の状態を調整し正常化させ、多汗症の改善に当たります。

漢方薬の働きにより過剰に出る汗の量が少なくなり、汗のにおいも減ります。からだの内側から肌の状態を自然に整えていくことになります。

どのような体質が多汗や体臭の背景にあるのか、次項でよくある例と治療方針を紹介します。


◆多汗や、汗による体臭が強い人のタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1)「肺衛不固(はいえふこ)」証

体表を守るバリア機能が弱いため汗が漏れ出ているようならこの証です。五臓の肺は、バリア機能ををつかさどり、汗の分泌の調整をします。

肺の機能が弱いと体表の気が不足し、汗が漏れ出るのを防ぐことができず、必要以上に汗が出ます。気の不足が基本ですので、ちょっと動いただけで汗が出たり、ちょっと暑いだけで汗ばんだりします。

元気がない、むくみ、からだが重だるい、白い舌、白い舌苔などの症状もみられます。

→ 肺気を補う漢方薬で衛気を強め、多汗を改善していきます。


(2)「心気虚(しんききょ)」証

心労による疲労倦怠感、動悸、息切れなどがみられるようならこの証です。

五臓の心(しん)の機能(心気)が低下している状態です。心は、心臓を含めた血液循環系と、人間の意識や判断、思惟などの人間らしい高次の精神活動をつかさどります。

考えすぎや、心労の積み重ねにより、心気の不足が生じ、めまい、不安感、胸苦しい、などの症状とともに、体表の気が衰えて多汗が表れます。

漢方では「汗は心液である」といい、心の病変があると発汗が多くなります。ベースとなる気力や体力が弱いので、普通の人なら気にならないことでも気になってしまうところがあります。冷や汗の多くは、この証です。

→ 心気を漢方薬で補うことで心の機能を強化し、多汗を治療します。

上記の(1)(2)の証でも体臭は強まりますが、より強く体臭が生じるのは、熱邪(余剰な熱)を伴う以下の証です。


(3)「肝火(かんか)」証

精神的なストレスや感情の起伏などが引き金となって汗や体臭が出ているようならこの証です。

からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる働きを持つ五臓の肝の機能(肝気)が、ストレスなどの影響によりスムーズに働かなくなり鬱滞した状態が続いた結果、熱邪が生まれ、それが多汗や体臭を生じさせます。

イライラ、落ち込み、紅い舌などがみられやすい症候です。

→ 漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮め、多汗や体臭を治療していきます。

(4)「湿熱(しつねつ)」証

べっとりと熱っぽい汗や体臭が生じているようならこの証です。

湿熱は体内で過剰な湿邪と熱邪が結合したものです。

清潔とはいえない生活環境や、脂っこいもの、刺激物、味の濃いもの、生もの、アルコール類の日常的摂取や大量摂取、不潔なものの飲食などにより、この証になります。

湿熱が漏れ出ることにより、べっとりと熱っぽい汗や体臭となります。

赤ら顔、目の充血、濃く黄色い尿、紅い舌、べっとりとした黄色い舌苔なども見られやすい症候です。

→ 漢方薬で湿熱を除去し、多汗や体臭を改善していきます。

(5)「陰虚火旺(いんきょかおう)」証

慢性的な体調不良や過労、生活の不摂生、緊張の連続、老化などにより陰液が消耗し、体臭が強くなる場合はこの証です。

陰液とは、人体の構成成分のうち、血(けつ)・津液(しんえき)・精(せい)を指します。陰液が消耗すると、相対的に熱邪が旺盛になって機能が亢進し、熱感、発汗、体臭などの熱証が表れます。

加齢臭の多くは、このタイプですほてり、熱感、夕方から症状が強まる、寝汗、深紅色の舌、少ない舌苔などは、この証の特徴です。陰虚内熱(いんきょないねつ)証ともいいます。

→ 漢方薬で陰液を潤し、熱証を冷ますことにより、体臭を改善していきます。


◆多汗・体臭に効果的な漢方薬


防已黄耆湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、竜胆瀉肝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、知柏地黄丸

実際に用いられる漢方薬は、汗の状態や特徴、それにひとりひとりの体質によって大きく違ってきますので、漢方薬を飲む際は、中医師など漢方の専門家のカウンセリングを受けて、自分に最 適な漢方処方を選んでください。

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日常生活での養生も大切

なお、特に汗のにおいは体表を不潔にしておくことにより憎悪しますので、局所の清潔を維持するための毎日のスキンケアとともに、食事は野菜を中心にして肉類や刺激物の摂りすぎに注意する、夜遅くの飲食をひかえる、睡眠時間や食事の時刻など規則正しい生活を心がけるなど、日常生活での養生を忘れないようにしてください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

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