不妊症克服の成功例(症例)

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

「妊娠力」を高めて不妊症を克服

漢方では、「妊娠しやすい体質」をつくることにより、「妊娠力」を高め、不妊症を治療します。このページでは、いくつかの成功例を紹介します。ポイントは2つあり、「妊娠しやすい母体をつくる」ことと、「元気な卵子をつくる」ことです。

漢方では、患者一人一人の証(しょう)に合わせて、処方を判断します。証とは、患者の体質や病状のことです。患者一人一人の証(体質や病状)に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

症例1(元気な卵子をつくる ①)

「結婚して7年になりますが、まだ赤ちゃんを授かりません。4年くらい前から出産を真剣に考えるようになりましたがなかなか妊娠せず、3年ほど前から婦人科に通い、不妊治療をしています。検査で異常はみつかっていませんが、医師からは、卵子が古いので妊娠しにくいのでしょう、と言われています」

38歳の女性です。結婚後も会社勤めをしていますが、仕事が忙しく、深夜に帰宅することもしばしばです。かなり疲れています。食事に気をつけたいとは思うのですが仕事の関係で外食や、デパートやコンビニの弁当で済ますことが多いのが現状です。最近、抜け毛が増えました。ときどき耳鳴りがします。舌は白っぽく、湿っています。

これまでに人工授精を5回、体外受精を6回しましたが、うまくいきませんでした。仕事が忙しいうえに、不妊治療をしていると婦人科に頻繁に通院せねばならず、最近では病院での不妊治療に身も心も疲れ果てたと感じており、しばらく不妊治療は休むことにしました。月経は安定しており、基礎体温はちゃんと2相に分かれています。ご主人の精子も検査しましたが、大きな問題はありません。

検査で異常が見つからないのになかなか妊娠しないという場合、卵子や精子に元気がないか、あるいは女性が肉体的、あるいは精神的に弱っていて妊娠できる状態ではない場合がほとんどです。

この女性は、妊娠しにくいことに加え、抜け毛、耳鳴り、白く湿った舌などの症状から、「腎精不足(じんせいぶそく)」証と判断できます。人の成長発育や生殖をつかさどる物質である腎精(じんせい)が不足している体質です。

この女性には、腎精不足を補う処方のひとつである八味地黄丸(はちみじおうがん)などを服用してもらいました。その結果、漢方薬を飲み始めて2か月目くらいから疲れにくくなって体調が良くなり、4か月目に妊娠しました。病院での不妊治療を休んで体力的にも精神的にも余裕ができたこともプラスに働いたのかもしれません。

症例2(元気な卵子をつくる ②)

「結婚して3年になりますが妊娠しません。二人とも仕事をしており、多忙でストレスの多い毎日ではありますが、とくにからだの不調はなく、生理も順調です。病院で検査を受けましたが夫婦ともに異常はありません」

34歳の女性のケースです。基礎体温をみると、がたつきが多く、基礎体温表がギザギザしています。月経前に情緒不安定になりやすく、いらいらや落ち込みが激しくなります。便通がすっきりせず、便秘と下痢を繰り返します。舌は紅い色をしています。

この女性は、「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証です。情緒を安定させる働きを持つ五臓の肝(かん)の機能がスムーズに働いていない体質です。この体質の場合、気(生命エネルギー)の流れが滞り、卵子に十分なエネルギーが供給されず、いい状態の卵子が育ちません。妊娠しにくいことに加え、ストレスが多い、基礎体温ががたつく、月経前の情緒不安定、いらいら、落ち込み、便秘と下痢を繰り返す、紅い舌などの症状は、この証の特徴です。

この女性には、肝鬱気滞を治療し、ストレスに対する抵抗性を高める働きのある処方のひとつ、四逆散(しぎゃくさん)などを服用してもらいました。精子の状態も良くするため、ご主人にも、また別の漢方薬を飲んでもらいました。服用を始めて2か月目くらいから、月経前のいらいらが緩和されてきました。4か月後には、基礎体温が安定してきました。そして8か月後、妊娠が確認されました。

症例3(妊娠しやすい母体をつくる ①)

「結婚して4年目ですが、なかなか妊娠しません。産婦人科で甲状腺機能が低下していると言われており、ホルモン治療をすすめられています」

32歳の女性の例です。月経は順調に来ており、安定しています。基礎体温も2相にちゃんと分かれているので、できればホルモン治療は受けたくありません。大きな病気はしていませんが、疲れやすく、ときどき憂鬱になります。頭がぼうっとします。夜、眠りにくいことがあります。舌は白っぽく、表面に白い舌苔が薄く付着しています。

この女性は、甲状腺機能の低下、疲れやすい、憂鬱、頭がぼうっとする、不眠、白い舌、白く薄い舌苔などの症状から、「気血両虚(きけつりょうきょ)」証と判断できます。健全な人体に必要とされるエネルギーや栄養が不足している体質です。母体にエネルギーや栄養が充足していない状態では、なかなか妊娠できないでしょう。

そこで、この女性には、気血両虚を治療して母体を十分なエネルギーと栄養で満たす働きのある処方のひとつ、帰脾湯(きひとう)を服用してもらいました。服用を始めて3か月目くらいから、疲れにくくなってきました。5か月目くらいには、よく眠れるようになってきました。顔色も良くなってきました。半年後の検査では甲状腺機能は正常値になっていました。そして7か月後に妊娠しました。

症例4(妊娠しやすい母体をつくる ②)

「そろそろ赤ちゃんがほしいと思っているのですが、なかなか妊娠しません。冷え症や、生理痛があります」

30歳の女性です。かなりの冷え症で、とくに手足の末端が冷えます。おなかや腰も冷えます。冷え症のわりに、顔はのぼせがちです。月経痛は、月経初日と2日目に、刺しこむような痛みに襲われます。肩こりがひどく、ときに頭痛を伴います。舌は淡紅色で、表面に紫色の斑点が何か所かに見られます。

この女性は、「血瘀(けつお)」証です。血の流れが鬱滞しやすい体質です。血行がよくないために卵巣や子宮に十分な栄養が供給されず、なかなか妊娠できません。冷えのぼせ、刺しこむような月経痛、肩こり、頭痛、舌の表面に生じる紫色の斑点などは、この証の特徴です。

この女性には、血瘀を治療して血行を改善する働きのある処方のひとつ、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)などを飲んでもらいました。2か月後、月経痛がとても軽くなりました。3か月後、手足やおなかの冷えが緩和されてきました。半年ほど経過したあと、薬局に来なくなりましたが、その数か月後に「妊娠しました」という喜びの連絡がありました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

 

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*執筆・監修者紹介*

幸井俊高  (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。帝国ホテルプラザ東京内「薬石花房 幸福薬局」代表。薬剤師・中医師。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。「日経グッデイ」「日経DI(ドラッグインフォメーション)」にて漢方コラム好評連載中。

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