後鼻漏の症例

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で後鼻漏が治った症例

こちらは症例紹介ページです。後鼻漏の解説ページは こちら へどうぞ

■症例1「寝るときに仰向けになると鼻水が喉に垂れてきて不快です。苦しくなることもあるので横を向いて寝るようにしていますが、それでも苦しかったり咳が出たりして夜中に目覚めることが多く、熟睡できません」

後鼻漏は粘っこく黄色い色をしています。よく鼻がつまります。そのせいか頭が重く、ときに痛みます。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。

この患者さんの証は、「肺熱(はいねつ)」です。肺は五臓のひとつで、肺などの呼吸器系、鼻、咽喉、皮膚、粘膜などが含まれます。この肺に熱邪が侵入するとこの証になり、炎症を起こし、後鼻漏が生じます。

粘っこく黄色い鼻水、鼻づまり、頭痛、頭重感、紅い舌、黄色い舌苔などは、この証の特徴です。口渇、喉の痛みなどの症状がみられることもあります。

この証の場合は、漢方薬で肺熱を除去することにより、後鼻漏を治療します。

この患者さんは、漢方薬の服用を始めて2か月後くらいから後鼻漏の色が薄くさらさらとしてきました。4か月目には後鼻漏がずいぶん減りました。その後も漢方を飲みづづけ、8か月後には後鼻漏に悩まされることはほとんどなくなりました。おかげで熟睡できるようになったと喜ばれました。


    ■症例2「長年、後鼻漏に悩んでいます。鼻水が喉に流れてきて不快です。喉への刺激となって咳き込むこともあります」

    鼻はつまりがちです。鼻をかんでも鼻水は出ません。ときに動悸やめまいに見舞われます。舌は紅く、黄色い舌苔がべっとりと付着しています。

    この患者さんは、「痰濁上擾(たんだくじょうじょう)」証です。痰飲が頭部に上擾(じょうじょう)して鼻腔内であふれ出し、あるいは粘膜に浮腫を生じさせることにより、後鼻漏や咳き込み、鼻づまりが引き起こされたものと思われます。

    この体質の場合は、痰飲を下降させて除去する漢方薬で、後鼻漏を治療します。

    この患者さんは、漢方薬の服用を始めて3か月後には咳き込むことがずいぶん減りました。10か月後には後鼻漏に悩まされることがなくなりました。


    ■症例3「昼も夜も後鼻漏があります。垂れてくる鼻水はねっとりとしており、やや黄色く、臭いがして不快です」

    耳鼻科で副鼻腔炎と診断されました。抗生物質で治療すると一旦は改善しますが、しばらくすると再発します。乾いた咳が出ます。口臭も気になります。舌は紅く、舌苔はあまり付着していません。

    この患者さんの証は、「肺陰虚(はいいんきょ)」です。五臓の肺の陰液が不足している体質です。陰液の不足により相対的に熱が余って熱邪となり、炎症や口臭が生じています。

    黄色くねっとりとした臭いの強い鼻水、乾咳、口臭、紅い舌、少ない舌苔などは、この証の特徴です。口渇、息切れ、血痰などの症状がみられることもあります。

    この体質の場合は、漢方薬で肺の陰液を補い、後鼻漏を治します。

    この患者さんは、漢方薬を服用して5か月後くらいから鼻水の色や臭いが気にならなくなってきました。8か月後には昼も夜も後鼻漏がほとんど出なくなりました。1年後に耳鼻科で検査したところ副鼻腔炎は完治していました。

    この証では、後鼻漏の量そのものは多くないけれども神経過敏となり、後鼻漏に悩まされるケースもみられます。

    ***

    以上の症例のほかに、さらさらと水のように流れ落ちてくる後鼻漏なら、「寒痰(かんたん)」証です。寒痰を除去する漢方薬で後鼻漏を治療します。

    また、後鼻漏が黄色く、粘り気があり、多痰や咳嗽も伴うようなら、「熱痰(ねったん)」証です。熱痰を排除する漢方薬を用い、後鼻漏を治します。

    (こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

    *執筆・監修者紹介*

    幸井俊高 (こうい としたか)

    東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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