副鼻腔炎

副鼻腔炎は、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)の粘膜が炎症を起こしている病気です。

副鼻腔は顔面に左右対称に広がっており、次のような空洞に分かれています。

●両目の間・篩骨洞(しこつどう)
●頬の裏側・上顎洞(じょうがくどう)
●篩骨洞の奥・蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)
●鼻の上の額の裏・前頭洞(ぜんとうどう)

これらの副鼻腔は粘膜で覆われており、正常な状態においては空気で満たされています。

副鼻腔は鼻の中(鼻腔)とつながっているため、外界からの刺激を受けて、それが炎症を引き起こすことがあります。

外界からの刺激:
細菌、ウイルス、ハウスダスト、花粉、たばこの煙 など

 

◆急性副鼻腔炎

副鼻腔にウイルスや細菌が感染するなどして炎症が生じると急性副鼻腔炎になります。

篩骨洞の炎症 目の内側が痛む
上顎洞の炎症 頬、鼻の周り、歯の辺りが痛む
蝶形骨洞の炎症 頭痛や頭重感
前頭洞の炎症 額が痛む

痛みのほかに、炎症による鼻詰まりが生じます。炎症が化膿して生じた黄色い膿が副鼻腔からあふれ出して鼻水に混ざり、粘りのある黄色い鼻水が出ます。

 

◆慢性副鼻腔炎

副鼻腔粘膜の炎症が治りきらずに長引くと、慢性副鼻腔炎となります。膿が副鼻腔にたまることが多く、蓄膿症とも呼ばれています。

炎症が長引くことにより粘膜の腫れが慢性化し、鼻詰まりが悪化します。鼻をかんでもかみきれない感じがして、すっきりしません。

粘膜が腫れて鼻腔との通路がふさがれると、炎症は悪化します。鼻の奥で不快な臭いがするようになります。腫れた粘膜が鼻腔内に広がるとポリープ(鼻茸[はなたけ])ができます。

鼻水が緑色になったり、長期化すると白っぽくなったりします。

鼻水が喉に流れる後鼻漏(こうびろう)、咳、鼻声になども起こります。

長期化すると嗅覚障害、味覚障害、口臭、疲労感、集中力の低下もみられるようになります。中耳炎や咽頭炎、気管支炎、視力の低下、睡眠時無呼吸症候群など、ほかの病気を引き起こすこともあります。

 

◆副鼻腔炎に対する西洋医学と漢方の違い


西洋医学では
抗菌薬や抗炎症剤が処方されます。かぜやインフルエンザに罹患して引き起こされる急性副鼻腔炎なら自然に治癒することが多いですが、長期化して慢性副鼻腔炎となった場合は、手術が必要になる場合もあります。

漢方では
副鼻腔炎と関係が深いのは、熱邪(ねつじゃ)です。熱邪は、自然界の火熱により生じる現象に似た症状を引き起こす病邪で、炎症や、化膿、発熱、充血、疼痛、出血などの熱証を表します。

漢方では、鼻は五臓のと関連が深い器官と捉えています。五臓の肺は呼吸や体温調整をつかさどる機能を指し、肺だけでなく、鼻、のど、気管支、皮膚なども、五臓の肺に含まれます。そして熱邪に侵されると副鼻腔炎になりやすくなります。

肺は直接外気と接するので、風邪(ふうじゃ)など外界の病邪の影響を受けやすいのが特徴です(外感病)。外感病の影響で肺の機能が乱れると、副鼻腔炎に罹患しやすくなります。風邪は、ウイルスや細菌などによる感染症に近い概念です。

このように、の機能の乱れや熱邪の影響によって副鼻腔炎が発症します。

同じ副鼻腔炎という疾患でも、西洋医学のように誰に対しても抗菌薬や抗炎症薬が投与されるのではなく、患者の証によって使う処方が異なるのが漢方の特徴です。

漢方では、漢方薬で熱邪を除去し、肺の機能を立て直すことなどにより、副鼻腔炎を治療します。外感病による副鼻腔炎の場合は、風邪を漢方薬で除去して副鼻腔炎を治療します。

抗菌薬や抗炎症薬で症状を緩和するのではなく、慢性化して繰り返し発症しやすい副鼻腔炎を根本から治療していくのが漢方の特徴です。

 

◆副鼻腔炎のタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1)「肺熱(はいねつ)」証

五臓のに熱邪が侵入している状態。炎症が激しいために鼻詰まりが強く、粘りが強く黄色い鼻水が特徴

◎肺熱で出やすい症状
鼻づまりが強い、粘りが強く黄色い鼻水、頭が重い、頭痛、のどが渇く、舌が赤く黄色い舌苔が付着 など

→ 肺熱を除去する漢方薬で炎症を冷まし、膿の発生を抑制する一方で排出を促進し、副鼻腔炎を治療します。


(2)「肺陰虚(はいいんきょ)」証
 

五臓の肺の陰液(必要な血液や体液)が不足している体質。体液不足により相対的に熱が余って熱邪となっています。

肺陰虚で出やすい症状
なかなか治らない慢性副鼻腔炎、口臭、口喝、乾燥、手足のほてり、微熱 など

→ 漢方薬で肺の陰液を補い、副鼻腔炎を治します。陰液が補われることにより、鼻水や膿が排泄されやすくもなります。


(3)「肝火(かんか)」証 

五臓の肝の機能が乱れて気の流れが滞り、熱が加わった状態。

精神的なストレスや感情の起伏などが関与している場合がほとんどです。体の諸機能を調節する肝の機能(肝気)が、ストレスなどの影響によりスムーズに働かなくなり鬱滞し、さらに悪化して熱を帯びています。

肝火で出やすい症状
粘性の濃い鼻水、目の痒み、充血 など

→ 漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮め、副鼻腔炎を治療していきます。


(4)「熱痰(ねったん)」証


体内に貯留した異常な水液(痰)が熱邪と結び付き、の機能を阻滞している状態。

熱痰で出やすい症状
黄色く粘りの強い鼻水で量が多い、後鼻漏、痰が多い、鼻水や痰がすっきり排泄されない、咳 など

→ 熱痰を排除する漢方薬を用い、副鼻腔炎を治します。


(5) 「血瘀(けつお)」証


血流が鬱滞しやすい体質。

精神的ストレスや、冷え、体内の水液の停滞、生理機能の低下、疾患や体調不良の慢性化・長期化などにより、この証になります。

血行が良くないために、粘膜が傷つきやすく、防御機能も低下しています。そのため細菌やウイルスが感染しやすく、粘膜が炎症を起こしやすくなっています。血行悪化の影響で熱邪が上半身に鬱積し、また血行不良により鼻粘膜に水液の滞留が生じやすいこともあり、副鼻腔炎が長引きます。

入浴時や、蒸しタオルなどで顔面を温めたときに症状が軽くなる場合が多いのも特徴です。

血瘀で出やすい症状
副鼻腔炎が治りにくい、便秘、下肢の冷え、肩こり、顔色がどす黒い、舌が紫っぽい など

→ 血行を促進する漢方薬で体質的にも血流が改善されれば、副鼻腔炎の根本治療につながります。

  漢方が効果的! 以上の5タイプは慢性副鼻腔炎によくみられる証です。抗炎症剤などを長く服用してもなかなか治らず悪化していくケースも多いようです。このようなタイプには漢方の体質改善が特に効果を発揮します。

以下の2つは、外感病による副鼻腔炎に多い証です。急性副鼻腔炎にみられることが多くみられます。

西洋薬の対症療法や自然治癒で比較的治りやすいタイプですが、免疫力が落ちていていると長期化・慢性化の恐れも。早めから漢方薬を用いた方が予後がいいでしょう。


(6)「風寒
(ふうかん)」証

風寒は、風邪と寒邪が合わさったものです。風邪は、自然界の風が引き起こす現象に似た症状が表れる病邪であり、寒邪は、自然界の寒冷が引き起こす現象に似た症状が表れる病邪です。

この風寒が肺に侵入して肺の機能が乱れると、副鼻腔炎になります。この証も入浴時に症状が緩和されます。

風寒で出やすい症状
鼻詰まり、頭痛、悪寒、鼻水 など

→ 風寒を発散させて除去する漢方薬で、急性副鼻腔炎を治療します。


(7)「風熱(ふうねつ)」証

風熱は、風邪と熱邪が合わさったものです。風邪は、自然界の風が引き起こす現象に似た症状が表れる病邪であり、熱邪は、自然界の火熱が引き起こす現象に似た症状が表れる病邪です。

この風熱が肺に侵入して肺の機能が乱れることにより、副鼻腔炎に罹患します。

風熱で出やすい症状
鼻詰まり、粘りの強い鼻水、発熱、頭痛、口渇、目の充血、顔面やまぶたの腫れ など

→ 風熱を発散させて除去する漢方薬を用い、急性副鼻腔炎を治します。

 

◆副鼻腔炎に効果的な漢方薬


葛根湯加桔梗石膏、葛根湯加川芎辛夷、辛夷清肺湯、荊芥連翹湯、清肺湯、麦味地黄丸、麦門冬湯、桂枝茯苓丸 など

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

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