便秘体質を改善して、下剤とさようなら  

幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局(東京 帝国ホテル内の漢方相談薬局)の症例をもとにした漢方ストーリー


以下は、便秘の悩みを解決したOLの物語です。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)


■■下剤にたよってばかりでは・・・・・・■■


佐和子の悩みは便秘である。

便秘との付き合いは長い。中学のころから、ほうっておくと便は硬くなりやすいほうだった。排便のときに痛くて苦痛なこともあった。

そんなわけで、いつのころからか下剤を常用するようになった。

市販の下剤をつかうと当然、お通じがある。おなかがきゅるきゅるして下腹が痛くなり、便意が来る。

排便後は腹痛もなくなり、おなかもすっきりする。でも便が柔らかくなりすぎて下痢状になることも多い。体調によっては水のような便が出ることもある。

下剤を常用していると、変なときにトイレに行きたくなることもある。これが、わたしにとってストレスのひとつだ。

先日も、彼氏がせっかくクラシック・ピアノのコンサートに連れて行ってくれたのに、静かな楽章の途中で下剤が効いてきて、急におなかが差し込むように痛くなった。腸が急に元気に活動をはじめ、ごろごろと音を立てはじめた。

こんなときに限って座席は通路側ではなく、中央列のど真ん中。最高のリスニング・ポジションを用意してくれた彼の気持ちはありがたいが、通路に出るのに最低5人は超えていかなくてはならない。

せっかく名ピアニストが静かな旋律を弾いているときに、そして皆がその絶妙の指づかいが奏でる音に聞き入っているときに、

「すみません、すみません」

と言って隣の5人の膝をまたいでトイレに行くわけにもいかない。

かといって、わたしのおなかは、いつ、人に聞こえるくらいの大きな音でぐるぐるというやもしれない。爆弾を抱えているようなものである。

いったいどうすればいいのか、座りとどまっても苦悩と羞恥の的、思い切ってトイレに行ってもひんしゅくもの。気が遠のいていくような痛みのなかで、どうしようかとおなかを抱えて丸くなっているうちに、わたしの大好きなベートーヴェンのピアノ・ソナタは終わった。

ほっとしたけど、そのときにはもうくたくたになっていた。腹痛は、少し治まってきていた。

「大丈夫?」

気がつけば、彼が心配そうに見てくれていた。休憩時間に入り、コンサート会場は照明が灯り、ざわついていた。

あ、そういえば、いまデート中だったんだ。そんなことも忘れるくらい、わたしは下剤の作用と格闘していた。

「あ、大丈夫、ありがとう」

額の冷や汗をふきながら席を立ち、トイレに向かった。

その次の週に、友だちの良恵とコーヒーを飲みながら、その時の話をした。すると良恵は、意外とまじめな顔でこう言った。

「ねえ佐和子、あなた下剤が合わない体質じゃないの?」


■■食べた量ほど、便が出ない■■


良恵は最近、きれいになった。すらりとやせた。表情まで明るくなった。漢方でからだの中からきれいになった、というのが彼女の自慢である。

「下剤が合わない体質?」

「そう、胃腸が弱いとか、薬に敏感とか、そういう体質ってあるじゃない?」

「なるほど」

「それで佐和子には下剤が合わないのよ」

下剤を飲むようになったのは、高校生のころからである。そのころから、ちょっと量を間違えるとおなかが痛くてたいへんだった。

かといって少量の下剤だと効き目がないこともあり、そのうちそれまで利いていた量を飲んでも効かなくなってきた。飲む量を増やせばちゃんと利くけど、くせになっているようで心配だった。

ちょっと心配だったので、下剤の量を減らしたり、飲まなかったりしてみたこともあるけど、そうすると、たちまち便秘になり、ひどいと一週間くらい便通がなくて下腹が重く張って苦しくなった。しかたなく、また下剤を飲んだ。

病院にも行ってみたが、薬はやっぱり下剤だった。

結局、下剤の種類をあれこれと変えてみたり、プルーンを食べてみたりして、下剤の量があまり増えないように工夫しながら今日に至っている。ちょっと飲みすぎると腹痛におそわれるのは、いまも変わらない。

もうひとつ、食べる量にくらべて、出る量が少ない気がする。下腹がいつも重い感じで、肌の調子もわるく、吹き出物が消えない。

「佐和子も、その便秘体質、漢方で改善してみたらどう? 悩みがひとつなくなると、生活にも余裕ができて楽しいわよ。漢方的スローライフってところね」

漢方的スローライフ、か。

さっそく、良恵おすすめの漢方薬局にカウンセリングに行くことにした。

「先生、慢性的な便秘なんですけど、漢方で改善できますか?」

おだやかそうな先生は、わたしが記入したばかりの問診票を見ながら質問してきた。

「下剤を飲まないと、どのような便が出ますか?」

「いまは、お通じがないと苦しくなるのがいやなので、毎日か一日おきくらいに下剤を飲んでしまっているので、下剤を飲まないとどういうのが出るかは、ちょっとわからないです」

「でも、たとえばプルーンを食べたときなどは?」

「あ、そういうときは、細めの便が少しだけ、出ます。でも全然すっきり出た感じではありません。便意はあるんですが、トイレに行っても排便しなくて、なんか、食べた量にくらべて、出る量が少ないように思います」

先生によると、便秘には、大腸の緊張がゆるんで蠕動運動が弱くなり便が出にくくなるタイプや、逆に大腸の運動が強すぎてけいれんを起こし便通が悪くなるタイプなどがあるそうだ。

「トイレに行くのを我慢したりして神経が鈍くなり、便が直腸に達しても便意がおきないタイプもありますよ。精神的ストレスや過食、虚弱体質、自律神経系の緊張、老化、冷え症などが原因となる場合も多いですね」

それ以外に、腸の狭窄や癒着により腸管が狭くなって便が通りにくいためにおきる便秘もあるという。

「便秘のタイプによって、つかう漢方薬はちがってきます。漢方の場合は、下剤で機械的に排便させるのとはちがい、便秘体質そのものを改善していくというやり方ですね」

「先生、下剤がくせになっていて、やめられない、っていうことはないでしょうか?」

「下剤も、必要なときには使ったほうがいいと思います。ただし、あくまでもその場しのぎの対症療法であることはお忘れなく」

「やっぱりそうですよね。下剤を飲まないと、とたんに便秘しちゃうわけですものね」

「そう、それに下剤に頼りすぎると本来の腸の反射が鈍くなります。かといって、老廃物である便を大事におなかにずっと持っておいても、いいことはありませんので下剤も必要ですよ。大切なのは、並行して便秘体質の改善も行うことでしょうね」

「そうなんです。この便秘体質を漢方で改善したいんです」


■■便秘体質の改善■■


漢方の場合、便秘体質を、熱秘、気秘、虚秘、冷秘の四つにおおきく分けて考えている。

熱秘というのは、便が硬くなって排便しにくく、のぼせたり口臭がしたりする体質、

気秘というのは、ストレスや緊張の影響を受けやすく、おなかが張るけれども便意があまりないという体質、

虚秘というのは、腸の機能が低下していてなかなか排便しない体質、

冷秘というのは冷えが原因で腸の機能が落ちて便秘となっている体質である。

「あなたの場合は、腸の機能がよくないみたいですね。おおきな分類でいうと、漢方でいう虚秘という体質に当たります」

便秘の特徴や便の状態、それに疲れやすいなどの症状からの判断だそうだ。

わたしは、虚秘という体質を改善するために、腸に元気をつける(漢方道の必殺技①)漢方薬を飲むことになった。

「朝ご飯はちゃんと食べていますか?」

「朝はなかなか余裕がなくって、なにも食べないか、ちょっとフルーツを食べて急いで家を出るっていう感じです」

「朝食はしっかり食べないとだめですよ。ちゃんと食べて腸の活動を刺激して、そして会社に出かける前にゆっくりトイレに行くくらいの余裕がないとね」

「そうですよね。わかりました」

さっそく漢方薬の服用と、朝ご飯をしっかり食べる生活を始めた。先生のアドバイスのとおり、パンではなくご飯と味噌汁を中心とした和食をつくるようにした。

和食って調理が面倒なものだとばかり思っていたけれど、つくってみると結構おもしろく、すっかり料理好きになってしまった。

漢方と生活改善のかいあって、半年後には下剤がなくても自然な感じの排便ができるようになった。

最近、よく彼氏がうちに夕食を食べに来るようになった。コンサート会場もいいけれど、彼とお酒を飲みながら自宅で古い時代の名演奏のCDを聴くのも幸せなものね。

下剤もすっかり飲まなくなったし、もちろん急な腹痛に悩まされることもなくなった。ゆっくりと生活を楽しむ余裕ができたって感じだわ。

「先生、お通じがきちんとあるし、肌もきれいになったし、精神的にも落ち着いて、おかげさまで生活をエンジョイできています」

「それはよかったですね。まさに漢方的スローライフですね」

(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)

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そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

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