不正性器出血
◆体質的問題が原因の不正性器出血には漢方が効果的
こちらは解説ページです不正性器出血の症例紹介は こちら へどうぞ。
当薬局では不正性器出血に関する漢方治療のご相談をお受けしています。
月経以外に性器から出血する不正性器出血を漢方では「崩漏(ほうろう)」と呼び病気のひとつとしてとらえています。
不正性器出血がある場合、重大な病気が隠れていることもあるので、まず産婦人科で検査を受けることが推奨されています。(日本産婦人科学会 不正出血)
悪性腫瘍、異常妊娠、感染症などが原因で緊急の治療が必要な時は西洋医学が効果を発揮します。
しかし次のような場合は背景にある体質的な問題が原因なので、西洋医学の対症療法で根治するのは難しく、漢方薬によって「不正性器出血を起こしやすい体質」を改善することが根本的な解決法となります。
・ホルモンの異常が原因
・子宮筋腫やなどの良性腫瘍や子宮内膜症が原因
・異常なしとの診断(原因不明)
・感染症やびらんなどが再発しやすい、治りにくい
「不正性器出血を起こしやすい体質」には、次項で解説するようにいろいろなケースがあります。漢方では詳しい問診を通じて個人個人の体質的背景を丁寧に見極めたうえで最もふさわしい漢方薬を選びます。
◆不正性器出血を起こしやすいタイプ・・・あなたはどれ?
<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>
(1)「腎陽虚(じんようきょ)」証
五臓の腎の陽気(エネルギー)が不足している体質。
腎は生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖、並びに水液や骨をつかさどる臓腑です。
生活の不摂生、過労、慢性疾患による体力低下、加齢などにより人体の機能が衰えて冷えが生じるとこの証になります。
腎陽が虚弱になると、生殖器をつかさどる機能が弱まり、不正性器出血が生じます。
◎腎陽虚で出やすい症状
薄い赤色の経血、冷え、足のむくみ、足腰のだるさ、頻尿、白い舌 など。
→ 腎陽を補う漢方薬を用います。
(2)「腎陰虚(じんいんきょ)」証
腎の陽気ではなく、陰液(人体の構成成分のうち、血・津液・精)が不足している体質。
過労、不規則な生活、大病や慢性的な体調不良、加齢などにより精が減ると、生殖器をつかさどる機能を守りきれなくなり、不正性器出血が生じます。
◎腎陰虚で出やすい症状
暗赤色の経血、足腰のだるさ、ほてり、赤い舌 など
→ 腎の精気など、腎陰を補う漢方薬を用います。
(3)「脾気虚(ひききょ)」証
消化吸収や代謝をつかさどる五臓の脾の機能(脾気)が弱く、生命エネルギーを意味する「気」が不足している体質。
過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、この証になります。
気の機能の一つに、血など人体に必要なものが体外に漏れ出ないようにコントロールする働き(固摂作用)がありますが、気虚になるとこの力が弱まり、出血しやすくなります。
◎脾気虚で出やすい症状
疲れやすい、疲れているときに症状が出る、食欲がない、息切れがする、声に力がない、腹部膨満感、軟便、白い舌 など
→ 脾気を強める漢方薬を用います。
(4)「血熱(けつねつ)」証
体内に発生した過剰な熱(熱邪)が血に侵入した証。
味の濃い物、脂っこい物など濃厚な食生活や、精神的なストレス、長期の体調不良などにより熱邪が生じます。
熱邪の影響で出血が促され、不正性器出血が生じます。
→ ケースに応じ、血熱を冷ます漢方薬や、陰血(消耗した水分)を補う漢方薬を用います。
(5)「血瘀(けつお)」証
血流が鬱滞しやすい体質。
精神的ストレスや、冷え、体内の過剰な水分、生理機能の低下などにより、この証になります。疾患が慢性化して長引いて血流が悪くなり、この証になる場合もあります。
血行が悪くなるために血行不良になり、血が本来の通り道からあふれ出て不正性器出血になります。
◎血瘀で出やすい症状
下腹部の張り、暗赤色の経血、経血に混じる血塊、腹痛、紫色の舌、舌下静脈の怒張 など
→ 血行を促進し、鬱血を取り除く漢方薬を用います。
◆不正性器出血に効果的な漢方薬
桂枝茯苓丸、四物湯、八味地黄丸、牛車腎気丸、六味地黄丸、補中益気湯、帰脾湯、温清飲、三物黄芩湯
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。
自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。どうぞお気軽にご連絡をください。
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