目の疲れ(眼精疲労)

◆知らず知らずに目を酷使・・・漢方で回復を


当薬局では目の疲れ(眼精疲労)の漢方治療のご相談をお受けしています。

目の疲れ、またの名を眼精疲労。毎日パソコン画面とにらめっこ、深夜におよぶ書類との奮闘、気がつけば長時間のテレビゲーム、携帯電話画面の細かい文字を凝視する時間・・・、現代は目を酷使して目を疲れさせる要因に囲まれています。

歩きすぎると足が疲れるように、目も使いすぎると疲れます。慢性化すると頭痛や肩こりなど、眼以外にも不調をまねきます。逆に、残業や寝不足による身体の疲れ、また緊張やストレスによる精神面での疲れからも、目の疲れがやってきます。目の疲れは、目だけの疲れではなく、身体や精神面の不調も関係しているといえます

たとえ病院では異常なしといわれても目に負担がきていると自覚している時には漢方で改善が可能です。悪化しないうちに症状を解消し、大切な目を守りましょう。

(症例紹介ページは こちら

◆仕事で目を酷使する人に漢方が有効


27歳の女性で、目の疲れを訴えるかたがいました。毎日パソコンを使って長時間仕事をしており、目の疲れとかすみを自覚するようになりました。疲れていると目の焦点がなかなか合いません。最近では眼の奥が重く痛いような感じが強く、頭痛や首・肩のこりも生じています。精神的にもイライラしやすくなってしまいました。


このかたの場合は目に必要な栄養やエネルギーがもともと不足している上に目を酷使する環境でますます養分が欠如している状態です。栄養不足の体質が肩こりやストレスに対する弱さを招いています。こういうときは人参や白朮、熟地黄、当帰などの漢方生薬を使って、栄養やエネルギーが豊富に体内を流れる体質を作り、目の疲れだけでなく、その他の症状も緩和します。

◆パソコン画面の見すぎで首肩の痛み・うつ・ドライアイなども漢方で


パソコン画面を見すぎるために目の疲れや充血、かすみ、視力低下などをまねく状態をVDT症候群といいます。VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)とはパソコンやテレビの画面のことです。集中して画面を見続けるために、まばたきの回数が減少して目が乾き、目に負担がかかります。画面と書類の間で目を頻繁に移動させる必要性がさらに目を疲れさせます。

同時に長時間おなじ姿勢をとることにより首、肩、腕の痛みも誘引されます。ひどい場合は頭痛や食欲不振、便秘、いらいら、うつ症状が現れます。現代の新しい病気ですね。

パソコンやテレビ画面の見すぎで目の疲れを訴える人の多くがドライアイになっていることもわかっています。車の運転や細かい字を長時間見る仕事の人にも見られます。涙の量が減った状態ですので、目の乾燥感や異物感、重く疲れる感じや痛みがします。涙の量はストレスによっても減少しますので、ドライアイやVDT症候群には党参、白朮、山薬、香附子などの漢方生薬で目を潤し、ストレスの緩和を進めます。

◆目の疲れが出やすい人のタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方では証(しょう)といいます>

(1)「肝血虚(かんけっきょ)」証

五臓の肝で必要な血液や栄養(肝血)が不足している体質。目や視神経に供給される血液量の不足や栄養障害により、目が疲れやすくなっています。

肝血を補う漢方薬を用いて目の疲れ・眼精疲労を改善します。

肝血虚で出やすい症状
生理中に悪化、目のかすみ、ドライアイ、光がまぶしい、まぶたがピクピクする、爪が割れやすい、唇の乾燥、淡紅色の舌 など


(2)「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」証

腎は五臓の一つで、生きるために必要なエネルギー(気)や栄養(血)の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖、並びに水液や骨をつかさどります。血に関して腎と肝とは深い関係にありますが、この両者の陰液が不足している体質が、この証です。陰液とは、人体の構成成分のうち、血・津液・精を指します。

過労、生活の不摂生、大病や慢性的な体調不良、加齢などにより、肝腎の陰液が減ると、この証になります。

肝腎の陰液を補う漢方薬を使います。

肝腎陰虚で出やすい症状
ドライアイ、目の充血、視力の低下、足腰のだるさ、めまい、耳鳴り、足のほてり、寝汗、舌が赤く舌苔が付着していない など


(3)「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証

五臓の肝の機能(肝気)の流れが滞っている体質です。肝気の失調により、視神経、血行、眼球や目のまわりの筋肉運動の制御などが失調し、目の疲れや眼精疲労になります。

強いストレスや緊張の持続で、この証になります。気の流れの停滞によって目の痛み、頭痛などの痛みが生じやすい証です。

肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにする漢方薬を用います。

肝鬱気滞で出やすい症状
いらいら、ため息、生理痛、赤い舌 など

◆さらにこんなケースも
肝鬱気滞納に加えて怒りっぽい、ヒステリー、のぼせ、口喝などの熱証がみられるときは「肝火(かんか)」証です。熱を冷ます漢方を用います。


(4)「脾気虚(ひききょ)」証

消化吸収や代謝をつかさどる五臓の脾の機能(脾気)が弱く、生命エネルギーを意味する「気」が不足している体質。

過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、この証になります。ピントを合わせるなどの、目の機能の低下がみられます。疲れにより症状が悪化します。

脾気を強める漢方薬を使います。

脾気虚で出やすい症状
疲労倦怠、食欲不振、少し動いても汗をかく、息切れ、軟便、舌が白っぽい など

◆めまい、夢をよくみるなどの症状を伴う場合は血虚も加わっているので気血の両方を補う漢方薬を使います。

◆日常的に目をいたわることが大切


日常の注意点としては、まず休息をまめにとり、睡眠を十分とること。読み書きやパソコン作業のときの姿勢にも気を配りましょう。悪い姿勢は首や肩に負担がかかり、目の疲れのもとになります。

そして目に栄養を与えるよう、季節の野菜や根菜などバランスのよく食べるよう心がけてください。

その他、仕事の休息中は目を閉じる、ときどき遠くの景色を見る、目の周りを指で軽くマッサージするなど、目をいたわりましょう。

また、合わない眼鏡やコンタクトレンズは目を疲労させるので、適正なものを使うよう心がけてください。眼鏡を変えただけで目の疲れがなくなったということもあります。

◆西洋医学では


一般に、眼精疲労にはビタミンB含有の点眼剤、ドライアイの場合は涙と似た成分の目薬を必要に応じて使います。できれば防腐剤の入っていないものがいいでしょう。市販のもので十分です。

程度のひどいときは外科的な処置がほどこされることもあります。

◆目の疲れに効果的な漢方処方


目の症状によく使われる漢方薬は以下の通りです。当薬局では丁寧に細かい症状を聞き取り、ひとりひとりにベストの処方を選んでいます。

四逆散、加味逍遙散、杞菊地黄丸、四物湯、温清飲、補中益気湯、帰脾湯、明目地黄湯、知柏地黄湯、逍遥散柴胡疏肝散、啓脾湯、参苓白朮散


あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。
どうぞお気軽にご連絡をください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

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