血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)(体験談)

血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)が漢方で治った体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

気温差で鼻水が垂れてくるタイプの血管運動性鼻炎を漢方治療した症例

「気温差で鼻水が出ます。食後にもよく鼻水が出ます」

気温差については、たとえば寒い屋外から暖かい室内に入ったときなどに鼻水が垂れてきます。台風など低気圧が接近しているときも出ます。鼻水は透明で、さらさらしています。胃があまり丈夫ではなく、ときどき吐き気がしたり、おなかが張ったりします。舌は淡紅色で、白い舌苔が薄く付着しています。

この患者さんは、自律神経が乱れやすい体質が根本にあるようです。漢方で「気滞(きたい)」といいます。腹部膨満感や吐き気など、もともと自律神経系が緊張しやすい体質が、寒暖差アレルギーの根本原因となっているのでしょう。

この体質の場合は、漢方薬で気の流れを促進することにより、血管運動性鼻炎の治療を進めます。この患者さんには、香蘇散(こうそさん)などを服用してもらいました。服用を始めて2か月後、出る鼻水の量が減ってきました。4か月後、気温差で鼻水が出る頻度がかなり減りました。8か月後、食後の鼻水もかなり減り、気にならないくらいになりました。

疲れがたまると悪化する血管運動性鼻炎の漢方治療症例

「寝不足のときや、疲れがたまっているときに、鼻水が出ます。ひどいときには後鼻漏が喉のほうに垂れてきて、不快です」

鼻水はさらさらと水のようです。朝くしゃみを連発します。寒がりで、よく寒気がしてゾクゾクします。年に何度もかぜを引きます。舌は淡白色で、湿った白い舌苔が付着しています。

この患者さんは、新陳代謝が衰えて、体が温まりにくい体質です。漢方で「陽虚(ようきょ)」といいます。基礎代謝が低いため血行が悪く、鼻炎がなかなか治りません。疲れると症状が悪化する、さらさらの鼻水、くしゃみ、寒がり、寒気、かぜを引きやすい、淡白色の舌、湿った白い舌苔などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、漢方薬で代謝を高め、自分の力で体を温められるような体質に近づけることにより、血管運動性鼻炎を治療します。この患者さんには、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などを服用してもらいました。服用を始めて3か月後、後鼻漏がかなり減りました。朝のくしゃみの連発も少なくなりました。6か月後、寝不足や疲れた日に出る鼻水の量がずいぶん減りました。8か月後、かなり疲れている日でも、鼻水が出て不快な気持ちになることはなくなりました。

鼻づまりがひどい血管運動性鼻炎を治療した症例

「鼻づまりがひどく、困っています。常にどちらか片方の鼻がつまっており、息をするのがつらいほどです」

ときどき粘り気のある鼻水が出ます。アレルギー検査をしても異常はみつからず、血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)と診断されました。抗アレルギー薬を処方されましたが改善はみられませんでした。喉の痛みや、口の渇きがあります。舌は紅く(とくに舌先)、乾燥した舌苔が付着しています。

この患者さんは、鼻粘膜に病邪が存在し、熱っぽい症状が表れている状態です。漢方で「表熱(ひょうねつ)」という体質です。鼻粘膜が表熱に侵されて、血管運動性鼻炎になったのでしょう。鼻づまり、粘稠な鼻水、喉の痛み、口渇、紅い舌先、乾燥した舌苔などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、表熱を治療(解表(げひょう)といいます)する漢方薬で、血管運動性鼻炎を治療します。この患者さんには、銀翹散(ぎんぎょうさん)などを服用してもらいました。服用を始めて2か月後、鼻の通りが良くなってきました。両方の鼻がつまっていない日もあります。5か月後、両方の鼻が通っている日が増えてきました。9か月後、鼻づまりはほぼ解消されました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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