歯周病

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

歯磨きでも歯科治療でも治らない歯周病には漢方治療が有効

(症例紹介ページは こちら

当薬局では歯周病が治りにくい方に体質改善の漢方薬を提供し、症状改善のお手伝いをしています。

歯茎が腫れて炎症を起こし、歯を支えている骨が溶けていく歯周病は、現在、大人の約8割、子どもでも約5割がかかっているといわれています。自覚症状が少ないまま進行するため、治療や予防をおろそかにしがちですが、放っておくと歯が抜け落ちるので、悪化しないうちの対策が大切です。

歯周病と関係が深いプラーク(歯垢(しこう)ともいいます)は、口の中に残った食べかすに、口腔内の細菌が住み着いて増殖し、糊状になったものです。1mgのプラークの中に数百種類の細菌が合計で数億個いるといわれています。

歯周病菌もその中にいるもので、歯磨きが不十分で口の中が不潔だと菌がどんどん繁殖し、歯周ポケット(歯と歯茎のすき間)にたまり、歯肉と歯槽骨に炎症を起こします。

口臭が発生し、膿も出ます。そして歯肉と骨が徐々に侵され、歯が抜け落ちることになるのです。

◆歯周病が治らないのはなぜ?


なかには歯磨きが完璧にできていても、さらに歯科医院に通っていても、歯周病が根治できない人もいます。そこには免疫力の低下が関係しています。

漢方では、歯周病は熱邪によるものと考え、根底にある免疫力の低下は気血の不足臓腑機能の衰えにあるととらえます。余分な熱を生みやすい体質や免疫力が弱い体質が背景にあります。

このように体質的な弱みがある場合は、プラークを極力取り除いているにもかかわらず、菌が勢力を拡大し、歯周病が完治しないのです。

そんな時には漢方薬で体の内側から体質を改善する必要があります。

炎症や出血がひどい場合は炎症を和らげ、歯科医院に通っていてもなかなか治らない場合は免疫力を高めることにより、歯周病に対処します。

ちなみに、このような体質の人は、歯周病以外にも様々な炎症を起こしやすい、風邪をひきやすいなどの問題を抱えていることが多いものですが、漢方治療でそれらも合わせて改善できるので、たいへん喜ばれます。

 

◆歯周病によくあるタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1) 「胃熱」証

熱邪(からだに害を及ぼす過剰な熱)が歯茎をおかし、歯周病になっています。

炎症が強く、痛み、出血、化膿といった症状が出ます。

→ 胃熱を冷ます漢方薬を使います。

(2)「胃陰虚」証

五臓六腑の陰液(必要な血液や体液)が不足しています。陰液が少ないので相対的に熱が余り、それが熱邪となって歯周病を引き起こします。

口の中が粘つき、唾液が少ないのが特徴です。免疫力が発揮できず、歯周病を根治できません。

→ 胃の陰液を補う漢方を使って、体質から歯周病を治していきます。

(3)「脾気虚」証

五臓の(消化吸収機能)が弱く、免疫力が低下している証です。

歯周病菌の勢いがなかなか弱まらず、歯周病が根治できません。

→ 脾気を補う漢方薬が有効です。


これらの証以外にも、ストレスの影響で炎症が生じやすい肝火(かんか)」証心火(しんか)」証もみられます。歯茎が黒ずんでいて出血する場合は血瘀(けつお)」証の改善も必要です。


◆歯周病に効果的な漢方薬

白虎加人参湯、黄蓮解毒湯、立効散、桂枝茯苓丸、葛根湯加桔梗石膏、柴胡湯加桔梗石膏、麦門冬湯、六味地黄丸、補中益気湯、参苓白朮散

免疫力を高めるには、生活習慣の見直しも大切です。規則正しい生活、十分な睡眠、食生活の改善などについても気をつけましょう。

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(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

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