むくみ解消の美容漢方

美容の大敵「むくみ」の解消に漢方が効果的

漢方ガイドのマルガリータ・ユキです。漢方によるむくみ対策について、帝国ホテルプラザ内の「薬石花房 幸福薬局」の中医師・幸井俊高先生に、お話をうかがいました。

ユキ:むくみに悩んでいる方は意外にたくさんいらっしゃいます。多くは特に病気でもないのにむくむケースです。

・朝から目元や顔が腫れぼったい

・午後から靴がきつくなる

・足首のくびれがなくなる

・ふくらはぎがぱんぱん

・下半身のむくみが慢性化して下半身太りの体形になってしまった

など、美容の面からも何とかスッキリさせたいことばかりです。漢方でむくみを解消することはできますか。

先生:病院で検査をしても異常ないけれど不調があって困っている、そういう人に対して対処方法があるのが漢方のよいところです。漢方は、病気がみつからなくても体調不良があれば、その原因(体質など)をみつけて治療していきます。

むくみについても症状が起こっている以上、かならず原因があります。体内で何らかのバランスの偏りが起こっていて体液を運搬する力が弱くなり、余分な水分が体内にたまってしまっているケースが多いですね。

原因となっているバランスを回復する漢方薬を用いれば水分代謝が改善し、むくみも自然と解消されます。漢方薬でむくみの原因となっている体質が改善すると、むくむことがなくなるだけでなく、たとえば生理の不調や冷え症など、ほかの悩みも同時に解決されることもよくあり、大変喜ばれています。

→ どうすれば、信頼できる漢方の専門家に出会えるのか

むくみのタイプと漢方処方

ユキ:むくみの根本原因となっているバランスの偏りについて具体的に教えてください。

先生:いくつかのタイプ(漢方で「証(しょう)」といいます)がありますので以下に説明します。タイプごとに適切な漢方薬は異なります。同じタイプの中でも体質や状態に応じてさらに細かく判断した上で最終的にベストの処方を選びます。

(1) 消化吸収力が弱い「脾虚湿滞(ひきょしったい)」証
五臓の脾の機能が弱い体質です。脾は消化吸収をつかさどる臓腑です。消化吸収能力が弱くなっているため水液の動きが鈍くなり、からだに余分な水分がたまり、むくみが生じます。疲れやすい、軟便、からだが重だるい、あまり食欲がない、舌が白っぽい、舌苔がべっとりと湿っている、などはこの証の特徴です。この証に対しては、脾の機能を補い、内湿を除去する漢方薬を使います。
代表的な処方:六君子湯、参苓白朮散

(2) かぜをひきやすい人に多い「肺気虚(はいききょ)」証
前項の脾虚に加えて肺の機能も乱れて、むくみがひどくなっている場合です。体表の機能や水分代謝をつかさどる五臓の肺の機能が乱れるため、むくみます。かぜをひきやすく、よく汗をかきます。
代表的な処方:防己黄耆湯

(3) 下半身太りに多い「腎陽虚(じんようきょ)」
水液をつかさどる五臓の腎の機能が低下し、さらに冷えをともなう体質です。腎虚のために体液の運搬が滞って余分な水分が停滞し、むくみが生じています。下半身太りに多いタイプです。下半身には、むくみと同時に冷えもあります。夏のクーラーも苦手です。のぼせはありません。白っぽい色の舌をしています。この体質には、からだを温めて腎機能を強める漢方薬を使います。
代表的な処方:八味地黄丸、牛車腎気丸

(4) ストレス太りに多い「肝鬱気滞(かんうつきたい)」
からだの諸機能を調節する五臓の肝の気の流れが滞りやすい体質です。そのため水分代謝の調節がスムーズに行われず、余分な水分がたまってむくみが発生します。生理前にむくむ、いらいらしやすい、などの症状がある場合はこのタイプが多いです。この証には肝気の流れをスムーズにする漢方薬を用います。
代表的な処方:四逆散、小柴胡湯

さらに細かい使い分けとして次のようなケースもあります。

(5) 湿気の多い環境や飲食物が、内湿がたまりやすい体調不良に便乗してむくみを悪化させている「湿滞(しったい)」証には五苓散
(6) 腰から下の冷えが顕著な「寒湿(かんしつ)」証には苓姜朮甘湯
(7) ほてりや口の渇きがある「湿熱(しつねつ)」証には猪苓湯茵蔯五苓

ユキ:むくみに効く漢方薬といっても選択肢は幅広いのですね。自分にぴったり合う処方を見つけるのは簡単なことではありませんね。

先生:そうですね。やはり信頼できる漢方の専門家に相談されるのが確実ではないでしょうか。病気と限らず美容目的でも気軽にお尋ねなされば快く相談に乗ってくれるはずです。自分の体質を知ることで、日常生活で何を心がければよいかもわかりますから、漢方の診断はとても役に立つでしょう。

ユキ:からだの内側から美しくなるという発想が美容漢方のよいところですね。さらによいのは、ひとりひとりの体質に応じてきめ細かく対応していただけることです。美容漢方はまさにオーダーメイドの美容法ですね。

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