ニキビ(吹き出物)

漢方でからだの内側から「キビができにくい体質」に

漢方ガイドのマルガリータ・ユキです。ニキビと漢方について、帝国ホテルプラザ内の「薬石花房 幸福薬局」の中医師・幸井俊高先生に、お話をうかがいました。

ユキ: 漢方ではどのような考え方でニキビの治療をしますか。

先生: ニキビの発生や悪化をもたらしている、からだの内側の要因に着目します。たとえば疲れたときや寝不足のときにニキビが悪化することはありませんか。あるいは胃の調子がわるいとき、生理前、脂っこいものを食べ過ぎたとき、ストレスの多いときなどにニキビが悪化した経験をお持ちのかたも多いのではないでしょうか。

ユキ: どんな時にニキビが出るかは人によって違うように思います。悪化の要因を自覚していない方も多いのではないでしょうか。

先生: ニキビができる直接の原因は皮脂の過剰な分泌、毛穴のつまり、毛穴の常在菌の活動、肌の乾燥などですが、それらの背景には、ホルモンバランスの変化や、免疫力の低下、肌の代謝の衰え、血行不良、ストレス、食事の不摂生、生理の周期などが関係しています。漢方ではそうした背景にあるバランスの乱れを改善し、結果的にニキビが出ないようにもっていきます。

ユキ: 美容皮膚科などではピーリング、レーザー治療、抗生物質やビタミン剤による治療が行われるようですが効果はどうですか。

先生: 対症療法的にニキビを取り去るために有効ですが、からだの外側からニキビを除去するような治療といえます。再発を防ぐためには、からだの内側から治療する必要があります。

ユキ: 漢方薬は、からだの内側から”ニキビができにくい体質”にする治療ということですね。具体的にはどんな治療方針になるのですか。

先生: ニキビの要因はだいたい次のように整理できます。要因を見極めて改善作用のある漢方薬を選びます。多くの場合はいくつかのタイプが複合しています。

タイプ 要因 治療方針
生理前に悪化 ホルモンバランスの不調・血行悪化 内分泌系の機能を調整・血行促進
2 ストレスで悪化 五臓の肝の機能が失調し熱となって噴出 肝を落ち着かせストレス抵抗性を高める
3 乾燥肌にできる 毛穴が硬くなって老廃物を閉じ込めている 肌を潤す
4 治りにくい大人のニキビ(体力低下を自覚) 免疫力の低下(ステロイド長期使用などでもこの体質になります) 気血を補い免疫力を高める
5 白ニキビ 不摂生や代謝不足で老廃物をためこんでいる 老廃物を排出する
6 黒ニキビ
7 赤ニキビ 体内で処理しきれない熱毒が体表に噴出 デトックス・解熱
8 化膿したニキビ 赤ニキビがさらに悪化
9 ニキビ跡が消えない 血行・皮膚の代謝が悪い 血行を促進・皮膚の代謝を高める

ユキ: どのような漢方薬が用いられますか。

先生: ニキビに比較的よく使う処方を挙げておきます。実際にはこれ以外にも選択肢はたくさんあります。カッコ内は上の表で該当するタイプです。

黄連解毒湯(7,8) 加味逍遙散(1,2) 荊芥連翹湯(7,8) 桂枝茯苓丸(1,9) 補中益気湯(4) 帰脾湯(4) 清上防風湯(7,8) 桂枝茯苓丸加薏苡仁(5,6) 十味敗毒湯(8) 排膿散及湯(8) 当帰芍薬散(1,4) 温清飲(3)

ユキ: 一つのタイプのニキビに対して一つの漢方薬が対応するわけではないのですね。

先生: はい、ニキビのタイプはひとつの表れであり、漢方を選ぶにあたって肝心なのはその背景にある体質です。おひとりおひとり体質が違いますから、じっくりお話をうかがった上で慎重に処方を選びます。

ユキ:ニキビを早く治し、再発を防ぐために気を付けることはありますか。

先生:日常生活では、まず食べものに注意してください。甘いものや脂っこいもののとりすぎ、とくにチョコレートやナッツ類、揚げもの、香辛料のきついもの、刺激物、さらにアルコールやコーヒーも控えめにして、バランスのよい食事をしてください。夜更かしを控え、規則正しい生活をこころがけ、ストレスを解消する工夫も必要です。また便秘もニキビの原因になるので、慢性的な便秘の場合はそちらの治療も並行して行った方が効果的かもしれません。

ユキの感想

ニキビを体の内側から治すという考え方。遠回りのようだけど根本的に治せるのなら、結局は近道なのかも。対症療法とうまく組み合わせて完治を目指しましょう。

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