頭痛

漢方で頭痛を根治、鎮痛剤を手放せる

慢性的な頭痛に悩んでいらっしゃる方は少なくありません。病院では緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛などの診断が出ることが多いようです。

頭痛に悩むどのようなタイプの人に漢方が効くのか、マルガリータ・ユキが、「薬石花房 幸福薬局」の中医師・幸井俊高先生に、お話をうかがいます。

先生:激しい頭痛があっても病院の検査では異常なしというケースはよくあります。「心配ありません」と言わるのはいいのですが、根本的な治療方法がなく、鎮痛剤、抗不安剤、抗炎症薬、筋弛緩薬などが継続的に出されるだけです。

それらの対症療法薬だけでは頭痛が根治することはなく、薬に長く頼るのも心配で、漢方相談に見える方が多いのです。

漢方では、検査で異常があるかないかにかかわらず、心身に違和感や苦痛があればそれを治す方法があり、慢性頭痛のように西洋医学で原因がわからない症状の治療を得意としています。

頭痛が起こりやすい状態になっている体質的な原因を見極め、漢方薬によってその「頭痛体質」を改善していけば、自然と頭痛が出にくくなるのです。

頭痛が起こりやすい体質6タイプとは?

ユキ:頭痛が起こりやすいのはどんな体質ですか。

先生:慢性的に頭痛が起こる体質的な要因は人によって異なり、頭痛の種類も多々あります。どの体質による頭痛かを見極めてそこに的を絞った処方を選ぶことが大事です。

反復性、慢性の頭痛の主なタイプは次の6つです。混合型もあります。

(1) 締め付けられるような痛みの「肝陽頭痛(かんようずつう)」
ストレスなどの影響で五臓の肝の気の流れが乱れ、陽気が上昇して頭部まで達し、頭痛を発生させている状態です。頭を締め付けられたように痛む、頭皮が硬くつっぱっているように感じる、ヘルメットかなにか重いものをかぶせられたような感じがするというのが痛みの特徴です。

一日中同じ姿勢のパソコン作業や、精神的なストレス、睡眠不足などで生じやすく、肩・首・頭皮のこり、めまい、目の充血、顔面紅潮、赤い舌、さらに咳や吐き気を伴うことが多いタイプです。気分的にいらいらしやすいのも特徴で、高血圧自律神経失調症の場合もあります。
漢方薬で上昇した気をおろし、頭部の熱証である頭痛を和らげます。
代表的な処方:柴胡加竜骨牡蛎湯、七物降下湯、抑肝散、竜胆瀉肝湯、釣藤散

(2)過労や老化が原因の「腎虚頭痛(じんきょずつう)」
脳をつかさどる五臓の腎の機能が衰えている体質のため、頭痛が生じます。過労や老化によって生じやすく、頭がしくしく痛みます。疲れると痛みが悪化します。腎を補う漢方薬を使用します。
代表的な処方:杞菊地黄丸、六味地黄丸

(3)ふらつくような重い痛みの「血虚頭痛(けっきょずつう)」
血分が不足している血虚体質です。血はからだを潤し滋養する養分ですが、その不足によってバランスを失った熱が逆上し、頭痛を発生させています。ふらつきをともないやすい頭痛です。ふらつくように重く痛むのが特徴で、めまいや立ちくらみ、動悸を伴うこともあります。漢方薬で血を補うことによって熱を引きおろして頭痛を解消させます。
代表的な処方: 四物湯、七物降下湯

(4)ズキズキと脈打つ「痰濁頭痛(たんだくずつう)」
痰とは、体液が停滞して生じた異常な水液のことで、気管から出る痰とは違います。これが体内を上昇して頭痛となっています。水分が過剰に存在するので、血管が拡張しズキンズキンと脈打つような拍動性の痛みを生じます。ひどいと吐き気や嘔吐があり、鼻づまり、ふらつき、めまい、胃腸虚弱を伴うこともあります。舌には舌苔がべっとりと付着しています。疲れやすい、生理前に痛みやすいという場合もあります。
この場合は痰を排除する漢方薬で、頭痛体質を改善します。
代表的な処方: 温胆湯、呉茱萸湯、五苓散、半夏白朮天麻湯、半夏厚朴湯

(5)刺されるような痛みの「血瘀頭痛(けつおずつう)」
血液の流れがわるい血瘀体質であるため、頭痛が生じます。きりのようなとがったもので刺されたような痛み方をします。夜になると発生しやすい頭痛です。痛みが強烈な群発頭痛などの場合にこのタイプの可能性があります。運動時に悪化し、紫色っぽい舌の色をしています。
漢方薬で血瘀を取り除き、頭痛を解消させていきます。
代表的な処方:桂枝茯苓丸、桃核承気湯

(6)疲れてだるい時の「気虚頭痛(ききょずつう)」
体内にみなぎるエネルギーである「気」が不足している状態です。しくしくと頭が空っぽになったように痛みます。疲れると痛んだり痛みが悪化したりします。無力感、息切れ、物を言うのがおっくうなどの症状を伴います。
代表的な処方:四君子湯、六君子湯、補中益気湯

上記のタイプ以外には、川芎茶調散などもよく使います。慢性頭痛以外に、風邪を引いた時などの一時的な頭痛には、麻黄湯葛根湯なども用います。

自分のタイプに合う漢方処方に出会うことが回復へのカギ

ユキ:ひとことで頭痛と言ってもいろいろなタイプがあるのですね。タイプをしっかり見極めて処方を選ぶことが大切なのですね。

先生:その通りです。2つのタイプが合わさっているなど複雑な場合もあります。

医療機関によっては頭痛に対して呉茱萸湯、釣藤散、五苓散、葛根湯など、比較的限られた処方しか使わないところもあるようですが、それだけでは合わない場合のほうが多いでしょう。

納得がいかない場合は信頼できる漢方の専門家に相談してみてください。

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ユキ:慢性的な頭痛に悩まされている方が、ベストの漢方に出会って頭痛体質から脱却できるよう、このサイトがお役にたてば幸いです。

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