胃潰瘍の原因のストレスを軽くする!

幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局(東京 帝国ホテル内の漢方相談薬局)の症例をもとにした漢方ストーリー

以下は、ストレスで生じた胃潰瘍をきっかけに漢方を始めたOLが、自分の中にあった焦りや嫉妬心も克服して穏やかな気持ちを取り戻す物語です。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)


■■ストレスで胃がきりきり痛む■■

 先月の人事異動で横浜から年下の女性が配属されてきた。それ以来、胃の調子がよくない。

 その後輩は明るく元気ではつらつとしており、しかも礼儀正しく、あか抜けた雰囲気がある。なおかつ笑顔を絶やさず化粧が薄く、だれからも好感を持たれるタイプだ。おまけに美人で、彼女がいるだけで周りの雰囲気がぱっと明るくなる。彼女が異動してきて以来、男性たちの関心が彼女に集まっているのがわかる。

 しかも仕事がよくできる。てきぱきと先を読んで仕事を進める。わたしはその後輩に仕事を教える立場にあるが、彼女は教えたことをすぐに理解するし、ミスもほとんどしない。

 わたしはそれまでこの部署の人気者だった。ほかの部署の男性が通りがかりにちょっかいを出したりランチに誘ったりしてくれた。それが最近、その後輩ばかりに注目が集まる。

 上司も、それまで私に任せていた仕事を少しずつ彼女に回すようになった。あとから考えれば、彼女はこの部署が忙しかったから増えた人材であり、それまで抱え込みすぎていた仕事を少しずつ彼女に回すのは当たり前のことだと理解できる。しかしその当時は彼女への嫉妬心が募るばかりであった。

 わたしと同じストレスを、ほかの女性たちも感じていた。ほかからやってきた新人が人気をさらい、仕事も奪い、おもしろくない。ストレスでいらいらして寝つきがわるくなったという先輩もいた。

 わたしはストレスが胃にきたようだ。朝から胃がしくしくと痛む。胸やけ、むかつきなどの不快感もある。仕事中に人気者の後輩がパソコンのキーを速いタッチで軽快にたたく音を聞くだけで胃がきりきりと痛む。

 病院に行ってみた。胃カメラを飲んで検査をしたところ、「胃壁がちょっと荒れていますね」と言われた。そして先生は「小さな潰瘍がひとつあります。これが胃痛の原因でしょう」と付け加えた。胃カメラの映像を見ると、たしかに潰瘍ができていた。あの後輩のおかげで胃に潰瘍ができた、と憎らしく感じた。

 先生がカルテにデータを記入しながら、「おそらくストレスが原因でしょう」と言った。そんなこと、言われなくてもわかっている。そして「ストレスをためないように工夫してください」と言われた。それができないから胃潰瘍ができているのに。先生は事務的なアドバイスを残し、胃潰瘍の薬を処方して次の患者を呼んだ。

 薬を飲んでいると胃の痛みは楽になる。しかし調子がよくなったと思って薬をやめると痛みが再発した。病院の先生に相談しても、「ストレスがあるから仕方がないですね。しばらく飲み続けてください」と言うだけだった。

 ある日、男性の先輩の黒木さんがランチに誘ってくれた。

「里絵子さん、最近ちょっと元気ないけど、大丈夫なの?」

 わたしは胃潰瘍になった話をした。

「あの子が入ってきてから調子が狂っちゃったんだね」

「ほかの女性たちもストレスに感じているみたいだわ、あの子ばかりに人気が集まって、みんなあの子のせいだって」

「でも彼女を責めるのは勘違いだな。べつにあの後輩が里絵子さんたちに敵対心を持って何かわるいことをしているわけでもないじゃない」

 たしかにそうだ。

「あの子は、里絵子さんにないものを持っているだけだよ。あの子を嫌いになっても、あの子に意地悪をしても、それが手に入るわけではないよね。里絵子さんが何か失っているわけでもないし。人それぞれ、長所もあれば短所もある。他人にはなれないし、なる必要もない。マイペースがいいんじゃないのかな」

 黒木さんの言うとおりだと思う。でもなかなかそうは思えない。

 そういえば友人の厚子が漢方で自律神経失調症を治したと言っていた。心の悩みにも漢方はよく聞くんだって話してくれた。さっそく漢方薬局に行ってみることにした。


■■漢方でストレス抵抗性を高める■■

 漢方薬局で最初に受けたカウンセリングで、体調についていろいろと聞かれた。体調の悩みは胃の痛みだけだったのに、食欲、便通、生理、睡眠など、さまざまなことを尋ねられた。自分では自覚していなかったことだが、食欲が低下し、便秘と下痢を繰り返すようになり、生理が遅れ、眠りが浅くなっていることに気づいた。

「ストレスの影響が大きいようですね」

 カウンセリングのあと漢方の先生がおっしゃった。

「もちろんご自分でもわかってらっしゃるでしょうけどね」

「そうなんです、先生。ストレスなんです」

「ストレスは、だれにでもあります。社会生活を営んでいれば、ストレスを避けることはできません」

「ストレスは、あって当たり前ということですね」

「漢方では、ストレスに対する抵抗性を上げる方向で、胃潰瘍を治していきます。漢方薬でストレスに敏感すぎる体質をゆるめ、ストレスに弱い体質を丈夫にしていくのです」

「ストレスを悪者扱いするのではなく、自分の体質を改善するのですね」

「胃の痛みは、里絵子さんのからだが発する声です。そのからだの声に耳を澄ませば聞こえてくるものがあるはずです。会社の人間関係にお悩みのようですが、直接の原因は里絵子さん自身の感情の起伏と、それに敏感すぎる体質です。会社のストレスは、体調不良の"きっかけ"に過ぎないのですよ」

 なるほどあの後輩の出現が悪者ではなく、それは単なる"きっかけ"だったんだ。

「この機会に里絵子さんの体質を丈夫にしておかれるといいですよ」

 わたしはストレス抵抗性を高めるための漢方薬を飲むことになった。心身のバランスを調える働きが強い調合だそうだ。

■■きっかけ退治は不十分■■

 漢方薬を煎じて飲むと気持ちが落ち着くように感じた。でも会社で後輩の元気な笑顔を見ると、まだまだ胃の不快感はあった。

 先輩の黒木さんがまたランチに誘ってくれた。

「最近、どう? だいぶ落ち着いた?」

「おかげさまで。でもあの後輩、まだ好きにはなれないけどね」

「素直でなかなかいい子だと思うよ。里絵子さんとも仲良くなれるんじゃないかな」

「そうかしら」

「里絵子さんを脅かす存在は、じつはあの後輩ではないと思うんだ。あの後輩の出現に刺激された、里絵子さん自身の感情だと思うんだよ。里絵子さんの感情の動きが里絵子さんの精神状態を不安定にし、胃に痛みを与えているんじゃないのかな」

 たしかにそうなのよね。あの子は本当はいい子なんだと思う。

「あの子は里絵子さんの弱い部分、たとえば焦りや不安といったところを刺激した"きっかけ"にすぎないと思うよ。里絵子さんはそれを振り払うため、"きっかけ"となった後輩の存在を否定しようとしたんだろうね。今回の事件を里絵子さんにとっての成長のチャンス、自分に足りないものに気づくチャンスと前向きに捉えなおすといいんじゃないかな」

 なんだか漢方の先生と同じようなことを言われた。

 それから数ヵ月、気がつくと昔のようにふつうに仕事をしている自分がいた。後輩の人気があまり気にならなくなっていた。黒木さん始め多くの先輩たちは、昔と同じようにわたしと接している。わたしの部署の仕事もうまく回っている。多すぎたわたしの仕事は減り、退社後に料理教室に通う余裕もできていた。わたしだけ狭い了見でつまらない嫉妬をしていたみたいだ。少し成長したように感じた。

 うちの部署にはかわいい後輩がいるのよ、と他部署の友だちに話せる日も近いように思う。今度、後輩をランチに誘ってみようかしら。

(幸井俊高執筆 VOCE掲載記事をもとにしています)

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当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

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