胸やけ

◆病気と診断されない胸やけでも、漢方で治療が可能


当薬局では胸やけの漢方治療のご相談をお受けしています。

「胸やけ」といわれる症状は、胸が焼けるような不快感や痛みや違和感、またみぞおちから胸や背中にかけて食道が締め付けられるような感じなどをさします。

胸やけが生じる疾患には逆流性食道炎、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍狭心症などがあり、西洋医学では、これらの疾患の治療をすることにより、胸やけを解消します。

病気と診断されるに至らないこともありますが、多くの場合、胸やけの背景には次のような要因があります。

暴飲暴食、脂っこいものやアルコール類の過度の摂取、喫煙などにより胃酸が大量に分泌され、食道に逆流して食道を刺激したり、炎症を起こしたりする。
ストレスによって胃酸の分泌が増えたり、胃酸が逆流しやすくなったりしている。
加齢や肥満によって食道や噴門(胃と食道がつながっている部分)の筋肉が緩んでいる。

たとえ病気と診断されなくても胸やけの症状が続いたり、頻繁に起こる場合は体内でこれらの要因が持続している可能性があります。

そのままでは不快でもあり、悪化して病気になる恐れもありますから、早いうちに漢方で背景要因を取り除き、胸やけが生じない体質に改善することをお勧めします。

(胸やけの漢方治療の症例紹介ページは こちら


◆漢方による胸やけの考え方


漢方では、胸やけは六腑の1つであるの機能(胃気)の失調、あるいは熱邪(ねつじゃ)の存在により発生すると考えます。

六腑のは、五臓のと協力し合いながら飲食物の消化吸収をつかさどります。胃は、飲食物を受け入れ、消化し、食べたものを人体に有用な形に変化させてそれを脾に渡し、残りのかすを下の小腸・大腸に降ろす機能を担っています。

胸やけと関係が深いのは、食べたものを消化して下に降ろしていく胃の機能が失調して、下降すべきものが停滞したり、逆に上逆している状態です。

多くの場合、そこに熱邪(過剰な熱)が加わって胸やけの症状を引き起こしています。

 

◆胸やけによくあるタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

胃熱(いねつ)」証

痛みがあり、呑酸や口臭を伴う胸やけ。

胃から上部の消化器官で炎症を起こしやすい体質です。

刺激物や、脂っこいもの、味の濃いものをたくさん食べたり、あるいはアルコール類を多飲したりすると、それらが原因で熱邪が生じて胃熱となり、胸やけが生じます。

アルコール類や刺激物の影響で夜中にも胃酸が過剰に分泌されるので、朝起きたときに胸やけがします。

→ 胃熱を冷ます漢方薬で胸やけを治療します。

食滞(しょくたい)」証

暴飲暴食や、消化が悪いものの飲食による胸やけ。

胃の許容範囲を超えて飲食物が胃に流れ込んできたために胃に負担が掛かっている状態です。

胃の運動が失調し、胸やけが生じます。

吐き気、腹部膨満感、げっぷ、食欲減退もみられます。嘔吐すると気分が楽になります。

→ 漢方薬で消化吸収を促進し、停滞を緩和させて胃の運動を回復させ、胸やけを治します。

湿熱(しつねつ)」証

吐き気や嘔吐、腹部膨満感、胃のつかえ感を伴う胸やけ。

飲食の不摂生により生じた痰湿(体内にたまった過剰な水液)が熱を帯びた証です。

痰湿の長期化、あるいは脂っこいもの、刺激物、味の濃いもの、生もの、アルコール類の日常的摂取や大量摂取、不潔なものの飲食などにより、この証になります。

胃に炎症が生じています。湿熱邪が胃気を阻害することにより、胸やけが慢性化します。

胃熱証と同様、アルコール類や刺激物の影響で夜中にも胃酸が過剰に分泌されるので、朝起きたときに胸やけが生じます。

→ 漢方薬で湿熱を除去し、胸やけを改善していきます。

肝火(かんか)」証

精神的ストレスや、感情の起伏などが関与しているタイプの胸やけ。

五臓の(かん)の機能(肝気)がストレスなどの影響によりスムーズに働かなくなって鬱帯して肝鬱気滞(かんうつきたい)証となり、熱邪を生み、それが胃の運動を妨げて胸やけを生じます。

ストレスの影響で、胃酸を分泌する必要のない空腹時や夜中にも胃酸が過剰に分泌されるので、空腹時や朝起きたときに胸やけが生じます。

呑酸、口臭、吐き気、胃痛、のぼせ、頭痛、怒りっぽい、興奮しやすい、などの症状がみられます。

→ 漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮め、胸やけを治療していきます。

胃陰虚(いいんきょ)」証

口の渇きが強いタイプの胸やけ。

胃の陰液(必要な水分)が不足している体質です。陰液不足で乾燥するので口渇が生じ、口の中が粘つく、唾液が少ない、などの症状が表れます。

陰液が少ないために相対的に熱が余り、乾嘔(からえずき)、口臭なども生じます。

胃がスムーズに動かず飲食物の消化が妨げられるので、おなかはすくけれども食べられない状態にもなります。

→ 胃の陰液を補う漢方薬で、胸やけを治していきます。

胃気虚(いききょ)」証

慢性的な体調不良や疾患、過労、加齢などにより胃気が弱っているタイプの胸やけ。

胃の機能が低下するに従い、胸やけや、食欲不振、胃のつかえ、少ししか食べられない、吐き気、嘔吐などが生じます。

消化能力や胃の蠕動運動が低下している状態です。胃の蠕動運動の機能低下で、いつまでも食べたものが胃の中に残り、胃酸が分泌され続けるので、食後に胸やけがします。

→ 胃気を下降させて胃の機能を立て直す漢方薬を用いて胸やけを改善します。


◆胸やけに効果的な漢方薬


化食養脾湯、麦門冬湯、小半夏加茯苓湯、六君子湯、白虎加人参湯、三黄瀉心湯、半夏瀉心湯、温胆湯、竜胆瀉肝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。
どうぞお気軽にご連絡をください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

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